「実家の土地、地図で見たら市街化調整区域って書いてあったんですが……」──カルテのご相談で、実家の登記や地番を確認しているうちにこの言葉に行き当たり、不安になってお問い合わせいただくことがあります。市街化調整区域は、そのまま「家が建てられない土地」という意味ではありませんが、売却のしやすさには確かに関わってきます。まずは何がどう支障になるのか、順を追って整理しましょう。
この項目でカルテがつける判定
実際のカルテ見本では、項目8「用途地域・都市計画区分」は○支障なしで記載しています。見本の物件は市街化区域(第一種住居地域)内にあり、所見には「市街化区域(第一種住居地域)内であり、都市計画上の大きな支障は確認していません。」と記載しました。同じ項目でも、対象の土地が市街化調整区域に該当する場合は、判定が●要対応に変わります。ここでは見本とは異なるケース、つまり実家の土地が市街化調整区域に該当する場合を中心に、支障の内容と売却の工夫を解説します。
なぜ売却の支障になるのか
都市計画法では、都市計画区域を「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引区域」などに区分することがあります。これを区域区分(線引き)と呼びます。市街化区域は「すでに市街地を形成している区域、およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」とされ、住宅や店舗の建築が比較的自由に認められています。一方、市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」と位置づけられており、原則として新たな建物の建築や、既存建物の建替え・増改築が制限されます。
市街化調整区域内で建築を行うには、都市計画法第34条などが定める例外要件(農林漁業を営む人の住宅、分家住宅、公益上必要な施設など、地域や用途が限定された要件)を満たし、都道府県知事等の開発許可を受ける必要があります。要件に当てはまらない一般の住宅としての建築や建替えは認められないケースが多く、これが売却時の支障として表面化します。
具体的には、買主が住宅ローンを利用しにくい(金融機関が担保評価を低く見る、あるいは融資対象外とする場合がある)、購入後に自由に建替えができない、建築目的が属人的な要件(農家であることなど)に限定される、といった事情から、買主となれる人・用途が狭まりやすくなります。その結果、一般の市街化区域内の物件に比べて、価格や売却にかかる期間に影響が出ることが少なくありません。区域区分は、市区町村の都市計画課の窓口や、インターネットで公開されている都市計画図(都市計画情報システム)で確認できます。
磐田市・袋井市での実際
磐田市・袋井市エリアにも、市街化調整区域に指定されている地域があります。農地が広がる地区や、昔からの集落の一部などで、調整区域内に実家が建っているケースに出会うことがあります。古くから住んでいる家であっても、区域区分が定められた時期や建築の経緯によっては、市街化調整区域内の「既存の建物」という扱いになっていることも珍しくありません。
ただし、具体的にどの範囲が市街化調整区域に当たるか、また実家がその中でどのような扱いになるかは、土地ごとの事情によって異なります。市区町村の都市計画課で、地番をもとに区域区分と用途地域を確認することが、最初の一歩になります。当社でも確認のお手伝いをしていますが、最終的な区域の判断や開発許可の可否は、市区町村の窓口での確認が必要です。
解消の流れと関わる専門家
市街化調整区域は、名義や境界のように「手続きをすれば解消する」支障ではなく、区域そのものは基本的に変わりません。そのため、支障を前提とした「現況に合わせた売却の工夫」が中心になります。一般的な流れは次のとおりです。
- 現地・都市計画課での確認(区域区分、用途地域、既存建物の扱いなどを調べる)
- 売却方法の方針を決めて、売却活動へ進む
1. 現地・都市計画課での確認について
▲要確認・−未確認の項目は、まず現地と役所窓口での確認が欠かせません。当社ができること:現地確認レポート(33,000円税込〜)として、現地の様子や役所での確認結果を写真付きで整理し、まとめてお渡しします。
2. 売却活動へ
市街化調整区域内の物件では、自治体の条例による包括的な許可の対象になる区域かどうか、農家住宅・分家住宅など属人的な要件を満たす建物かどうかによって、売却の進め方が変わってきます。買主の探し方も、投資家や既存の権利者に近い属性の方など、対象を絞った売却活動が必要になる場合があります。当社ができること:媒介契約後は、区域の性質を踏まえた売り方・価格方針のご提案から、売却活動・契約・決済まで、当社がワンストップで対応します。
費用と期間の目安
都市計画課での区域区分・用途地域の確認そのものは、基本的に無料で、短時間(即日〜数日)で回答が得られることがほとんどです。一方、開発許可の申請や、既存建物の用途変更・建替えの可否についての詳しい照会が必要になる場合は、行政書士等の専門家への依頼費用や手続き期間が発生することがあり、内容によって数週間から数ヶ月と幅があります。ケースにより大きく異なりますので、確定額や期間は専門家にご確認ください。※本カルテ・本記事は価格査定ではなく、あくまで目安としての情報提供です。
よくある誤解・FAQ
市街化調整区域でも絶対に売れないのですか?
売れないわけではありません。既存の建物をそのまま利用できる買主(属人的要件を満たす方や、建替えを前提としない利用を考える方など)であれば取引は可能です。買主層が限定されやすい分、売却の進め方に工夫が必要になる、という理解が実情に近いです。
今建っている家を建て替えることはできますか?
建替えができるかどうかは、区域や建物の性質、自治体の条例による取り扱いによって異なります。一律に「できる」「できない」とは言えず、都市計画課での個別確認が必要です。
既存宅地の特例とは何ですか?
自治体によっては、一定の要件を満たす既存の宅地について、条例に基づき例外的に建築を認める仕組みを設けている場合があります。適用の有無や要件は自治体ごとに異なりますので、こちらも都市計画課での確認が必要です。
実家カルテでは、この項目も含めた13項目をまとめて所見にします