「登記簿を見たら、地目が畑になっていた」──実家の敷地を確認していて、こうしたことに気づかれるお客様は少なくありません。磐田市・袋井市は農地の多いエリアでもあり、家屋の周りの一部が畑や田として登記されたまま残っている実家に、カルテのご相談でもよく出会います。宅地のつもりで話を進めていたら、実は農地法の手続きが必要だった、ということもありますので、まずは落ち着いて何が必要かを整理しましょう。
この項目でカルテがつける判定
実際のカルテ見本でも、項目10「地目(農地法の要否)」は●要対応で記載しています。見本の事例では「地目に畑(1234番6・45.12㎡)が含まれます。売却(所有権移転)には農地法の許可または届出が必要です。農業委員会への確認と手続きを行います。」という所見を記載しました。登記地目が宅地のみであれば○支障なしとなる項目ですが、畑・田が含まれる場合は、ほぼ確実に●要対応になります。
なぜ売却の支障になるのか
農地(田・畑)は、宅地などとは異なり、農地法という法律で権利の移動が制限されています。登記簿上の地目が畑・田になっている土地を売買によって所有権移転する場合、農地法3条により、原則として農業委員会の許可を受けなければなりません。これは区域を問わず必要になる手続きです。
一方、農地を宅地等に転用しながら所有権を移転する場合は、農地法5条が適用されます。この場合、その農地が市街化区域内にあれば、都道府県知事等の許可までは不要で、農業委員会への「届出」で足りるとされています。市街化区域はもともと市街化を進めていく区域と位置づけられているためです。これに対して市街化調整区域など市街化区域外の農地は、原則として都道府県知事等の許可が必要になり、要件によっては許可が下りにくいこともあります。
また、登記簿上は畑・田のままでも、現況ではすでに宅地として使われている土地もあります。不動産登記は原則として現況に基づいて地目を判断する考え方があり、実際の利用状況が宅地であれば、売却にあたって別途「地目変更登記」が必要になることもあります。地目変更登記は土地家屋調査士が現地を調査したうえで申請する手続きで、農地法の許可・届出とは別に進める必要がありますので、あわせて確認しておくと安心です。
なお、許可と届出とでは、必要な書類や審査にかかる期間が異なります。届出は比較的短期間で受理されることが多いのに対し、都道府県知事等の許可が必要なケースでは、農業委員会での審議を経るため、申請から結果が出るまでにひと月前後かかることもあります。売却のスケジュールを立てる際は、この手続き期間もあらかじめ見込んでおくと安心です。
磐田市・袋井市での実際
磐田市・袋井市は農地の多いエリアでもあり、実家の敷地の一部が畑・田として登記されたまま残っているケースを見かけます。宅地として長年利用してきた部分であっても、登記地目が変わっていないだけ、ということも珍しくありません。区域区分(市街化区域か市街化調整区域か)によって必要な手続きが変わってきますので、磐田市・袋井市それぞれの農業委員会へ確認しながら進める必要があります。一律に「このケースなら大丈夫」とは言えない部分もあり、個別の確認が欠かせません。
実家の裏の家庭菜園程度の広さでも、登記地目が畑であれば手続きの対象になります。「小さな畑だから大丈夫だろう」と思われがちですが、面積の大小にかかわらず農地法の手続きは必要になりますので、カルテの段階で洗い出しておくことが大切です。手続きの窓口となる農業委員会は各市役所の関連部署にありますので、当社からご案内することもできます。
解消の流れと関わる専門家
農地部分がある実家の売却では、一般的に次のような流れで進めます。
- 農業委員会に、許可・届出のどちらが必要かを確認する(市街化区域内であれば届出で足りることが一般的です)
- 必要な書類を整え、農業委員会へ許可申請または届出を行う
- 支障の解消と並行して、売り方や価格方針を決め、売却活動へ進む
当社ができること:農業委員会への確認と、届出・許可申請の手続きの段取りを代行します。媒介契約後は、必要な手配のすべてと、売却活動・契約・決済までを当社がワンストップで対応します。
費用と期間の目安
農業委員会への届出・許可申請そのものにかかる手数料は、無料〜数千円程度で済むことが多いです。ただし、現況と登記地目が異なっていて地目変更登記が必要な場合は、土地家屋調査士への報酬が別途数万円程度かかることがあります。手続きに要する期間は、届出であれば数週間程度、都道府県知事等の許可が必要な案件では、それより長くかかることがあります。実家の状況によって差がありますので、確定額・期間は農業委員会や専門家への確認をおすすめします。
届出書類の作成は行政書士に依頼できる場合もあり、書類の不備で受理までの期間が延びることを避けやすくなります。当社では、必要に応じて提携の行政書士・土地家屋調査士をご紹介することも可能です。※本カルテ・本記事は価格査定ではなく、あくまで目安としての情報提供です。
よくある誤解・FAQ
市街化調整区域の農地は売れませんか?
売れないわけではありませんが、市街化調整区域など市街化区域外の農地は、転用を伴う売却の場合、都道府県知事等の許可が必要で、要件を満たさないと許可が下りにくいことがあります。農地のまま権利移動する場合も農業委員会の許可が要ります。まずは農業委員会に、その土地でどのような利用・売却が可能かを確認することをおすすめします。
農地のまま売ることはできますか?
農地のまま売却する場合も、農地法3条により農業委員会の許可が必要です。買主が農業を営む予定であるかどうかなど、要件を満たす必要がありますので、事前に農業委員会へご相談ください。
登記地目が畑のままですが、実際は庭として使っています。どうすればよいですか?
現況がすでに宅地化している場合は、土地家屋調査士に依頼して地目変更登記を行うことが考えられます。あわせて、売却に農地法の手続きが必要かどうかも農業委員会に確認しておくと安心です。
実家カルテでは、この項目も含めた13項目をまとめて所見にします