「実家の前の道、思っていたより狭いんです」──現地を拝見すると、車がすれ違うのもやっとという生活道路に面したご実家に出会うことがあります。長年そこで暮らしてきた方にとっては見慣れた道幅でも、いざ売却や建替えの話になると、この道路の幅員が思わぬ支障として浮かび上がることがあります。磐田市・袋井市には昔からの集落が多く、この「セットバック」の要否は、決して珍しい確認事項ではありません。まずは仕組みを整理してご説明します。
この項目でカルテがつける判定
実際のカルテ見本でも、項目11「セットバックの要否見込み」は▲要確認で記載しています。見本の所見は「前面道路の幅員が4m未満の場合、建替え時に敷地の後退(セットバック)が必要になります。幅員の実測確認が必要です。」というものです。図面や登記簿だけでは正確な道路幅員が分からないことも多く、現地での実測と行政での道路種別の確認が済むまでは、断定を避けて▲要確認としておくのがカルテの基本姿勢です。
なぜ売却の支障になるのか
建築基準法では、建物を建てる敷地は原則として幅員4m以上の道路に接していなければならないと定められています。ところが、この法律ができる前から建物が立ち並んでいた幅員4m未満の道もたくさんあり、こうした道のうち特定行政庁が指定したものは「42条2項道路」(いわゆる「みなし道路」)として扱われます。磐田市・袋井市の旧集落や生活道路には、この42条2項道路に該当する道が少なくありません。
42条2項道路に面した敷地で建物を建替える場合、道路の中心線から原則2m後退した線を道路境界線とみなす必要があります。これが「セットバック」です。道路の両側で後退すれば、合計4mの幅員が確保される仕組みで、これを「中心振り分け」と呼びます。一方、道路の反対側が崖や河川、線路などで後退できない事情がある場合は、反対側から4mの位置までを自分の敷地だけで後退する「片側セットバック」となることもあります。
注意したいのは、セットバックした部分は道路とみなされ、敷地面積には算入できても、建ぺい率・容積率を計算するうえでの敷地面積からは原則として除外される点です。また、セットバック部分には門や塀、樹木なども設置できません。つまり、登記簿上の地積より実質的に使える敷地が狭くなる、ということです。買主にとっても建替え時の実質的な敷地の広さに関わるため、事前に把握しておくべき重要な情報になります。
実際に前面道路の幅員がどうなっているか、セットバックの要否がどの程度かは、現地での実測と、市区町村の建築指導課での道路種別の確認をあわせて行わないと正確には分かりません。公図や登記簿に記載された道路の幅員は、あくまで地籍上の数値であり、実際の舗装幅や現況の幅員とは一致しないこともあります。地図や図面だけを見て判断するのは危険です。
また、セットバックの要否は「今すぐ」ではなく「建替えのとき」に効いてくる支障である点も理解しておく必要があります。現状の建物をそのまま使い続けている限りは、日常生活に支障が出るわけではありません。しかし実家を売却する場合、買主の多くは将来的な建替えやリフォームを視野に入れて検討しますので、セットバックの有無や後退距離は、買主にとって敷地の使い勝手を左右する重要な判断材料になります。売主として事前にこの点を把握し、正しい情報として提示できるかどうかが、スムーズな売却につながります。
磐田市・袋井市での実際
磐田市・袋井市エリアには、旧集落の生活道路に面したご実家が多く、道路の幅員やセットバックの要否がこれまで確認されないまま何十年も暮らしてきた、というケースも見られます。特に、親の代から住んでいる家では「昔からこの道幅だから」とあまり意識されてこなかった地域事情もあるようです。断定はできませんが、こうした立地では一度、道路の状態を確認しておくと安心です。
道路の種別(42条2項道路に該当するかどうか)や、後退すべき距離の考え方は、磐田市・袋井市それぞれの建築指導担当課で確認することができます。売却をご検討の際は、まず現地の実測とあわせて、この確認を進めておくことをおすすめします。
なお、道路の反対側の状況によって後退の仕方が変わる点にも注意が必要です。対向側の敷地も同様に後退できる住宅地であれば中心振り分けとなりますが、対向側が崖や河川、線路、水路といった後退できない土地の場合は、片側セットバックとなり、自分の敷地だけで4mまでの距離を確保することになります。同じ「幅員4m未満」の道路でも、対向側の状況次第で後退すべき距離が変わってきますので、この点も現地確認で見極める必要があります。
解消の流れと関わる専門家
セットバックの要否を確認するための一般的な流れは次のとおりです。
- ▲・−の項目を現地で確認する──道路幅員の実測など、机上の資料だけでは確認できなかった項目を、実際に現地や市区町村の建築指導課で確認します。
- 売却活動へ──支障の解消(セットバックの要否を踏まえたご説明など)と並行して、売り方や価格の方針を決め、売却活動に進みます。
当社ができること:現地で道路幅員を確認し、状況を写真付きの「現地確認レポート」として整理してお渡しします(33,000円税込〜)。媒介契約後は、行政窓口とのやり取りを含め、必要な手配から売却活動・契約・決済まで、当社がワンストップで対応します。
費用と期間の目安
市区町村の建築指導課での道路種別の確認は、基本的に無料で、短期間(即日〜数日程度)で回答が得られることがほとんどです。一方、正確な道路幅員の実測を土地家屋調査士等に依頼する場合は、敷地の形状や隣接状況によって費用に幅があり、数万円〜十数万円程度が目安になることがあります。実際の費用はケースにより異なりますので、確定額は専門家の見積りでご確認ください。※本カルテ・本記事は価格査定ではなく、あくまで目安としての情報提供です。
よくある誤解・FAQ
セットバック済みの土地とそうでない土地、価格に差は出ますか?
セットバックが必要な土地は、実質的に使える敷地が狭くなるため、買主の判断材料の一つになります。ただし価格への影響は立地や広さなど他の条件にもよりますので、一概には言えません。カルテでは、セットバックの要否も含めた事実関係を整理してお伝えします。
セットバック部分の固定資産税はどうなりますか?
セットバックした部分は道路の一部とみなされるため、市区町村への申請により非課税になる場合があります。取り扱いは自治体や申請状況によって異なりますので、詳しくは市区町村の税務担当課にご確認ください。
セットバックが必要かどうか、自分で調べる方法はありますか?
前面道路の幅員をメジャー等でおおまかに測ってみることはできますが、正確な道路種別(42条2項道路に該当するか等)は市区町村の建築指導課で台帳を確認する必要があります。まずは窓口へのご相談をおすすめします。当社でも現地確認から窓口へのご相談まで対応しております。
実家カルテでは、この項目も含めた13項目をまとめて所見にします