「うちの前の道、そういえば誰の土地なんだろう」──実家の売却をご検討中のお客様から、こうしたお言葉をいただくことがあります。毎日通っている道でも、それが国や市の道路(公道)なのか、近隣の方との共有名義の土地(私道)なのかを意識する機会は、ふだんはほとんどありません。ですが、この違いが売却の場面では大きな意味を持ちます。実家カルテでは、前面道路が私道かどうか、私道であれば持分や承諾の状況を、項目12「私道負担の有無」として確認しています。

この項目でカルテがつける判定

要確認 になりやすい項目です(前面道路が公道か私道かによって結果が分かれます)

実際のカルテ見本では、項目12「私道負担の有無」は○支障なしで記載しています。見本の物件は前面道路が公道であり、所見には「前面道路は公道であり、私道負担は確認されません。」と記載しました。前面道路が公道であれば、この項目は○支障なしとなります。一方、前面道路が私道に該当する場合は、判定が▲要確認に変わります。ここでは見本とは異なるケース、つまり前面道路が私道である場合を中心に、確認すべき内容と売却の進め方を解説します。

要対応 要確認 支障なし 未確認

なぜ売却の支障になるのか

私道とは、個人や複数人の共有名義になっている土地でできた道路のことです。実家の前面道路が私道である場合、まず確認しなければならないのが、実家側にその私道の持分があるかどうかです。持分があれば、その道路の一部を自分も所有していることになりますが、それでも道路全体を単独で自由に使えるわけではなく、掘削工事など他の共有者に影響する行為には、他の共有者の同意が必要になる場面があります。

さらに悩ましいのは、持分がない、または持分の有無自体がはっきりしないケースです。この場合、実務上は私道の所有者(共有者が複数いれば、その全員)から「通行・掘削承諾書」を取得することが、売却を進めるうえでほぼ必須の対応になっています。これは、買主が将来その土地を通行し、上下水道管やガス管などの引き込み・補修のために道路を掘削することについて、私道所有者があらかじめ承諾する書面です。

この承諾書が重要になるのは、買主だけの事情にとどまりません。多くの金融機関が、私道に接する土地への住宅ローン融資にあたって、この承諾書の提出を条件にしています。承諾書が整っていないと、買主が希望する金融機関の審査が進まず、結果として売却そのものが滞ってしまうことがあります。承諾書の取得には、私道所有者の方々への説明や押印の依頼が必要で、所有者の人数が多い場合や、遠方に転居されている場合には、相応の時間がかかることも珍しくありません。

磐田市・袋井市での実際

磐田市・袋井市エリアでは、古くからの住宅地や旧集落で、数軒の家がまとまって私道を共有しているケースに時々出会います。何十年も前に近隣の方同士で土地を分けて宅地化した経緯があり、道路部分だけが共有名義のまま今日まで引き継がれていることも少なくありません。実家が長くその地域にあるほど、前面道路の性質を家族が把握していない、ということもあり得ます。

そのため、まずは法務局で前面道路部分の登記事項(地番・所有者・持分)を確認し、公道か私道かをはっきりさせることが第一歩になります。私道であることが分かった場合は、共有者が誰か、実家との関係(近隣・親戚など)を整理しておくと、その後の承諾書取得の相談がスムーズになります。断定的な判断が難しい部分もありますので、疑わしい場合は早めにご相談ください。

解消の流れと関わる専門家

私道負担が疑われる場合の一般的な流れは、次のとおりです。

  1. ▲・−の項目を現地で確認する:私道の持分状況・通行掘削承諾の要否を、現地確認と法務局の登記事項確認によって整理します。
  2. 売却活動へ:承諾書取得の段取りを含め、売り方(現況渡し等)と価格の方針を決め、売却活動に入ります。

当社ができること:現地確認と登記事項の整理は、現地確認レポート(33,000円税込〜)として、写真付きでまとめてお渡しします。媒介契約をいただいた場合は、私道所有者への説明・承諾書取得の段取りを含め、上記の手配すべてと売却活動・契約・決済まで、当社がワンストップで進めます。

費用と期間の目安

私道部分の登記事項を確認するだけであれば、登記情報提供サービスの利用等で数百円程度の実費で済みます。一方、通行・掘削承諾書の取得にかかる期間は、私道所有者の人数や所在によってケースごとに大きく異なり、比較的スムーズに進めば数週間程度、所有者が多い場合や連絡がつきにくい場合は数ヶ月に及ぶこともあります。あくまで目安としてお考えください。※本カルテ・本記事は価格査定ではなく、情報提供を目的としたものです。

よくある誤解・FAQ

私道所有者と連絡が取れない場合はどうすればよいですか?

まずは登記事項から所有者の住所を確認し、手紙等での連絡を試みます。相続などで所有者が変わっている、あるいは所在が分からない場合は、戸籍や住民票の追跡調査が必要になることもあります。当社でも進め方をご案内できますので、早めにご相談ください。

私道の持分がなくても実家は売れますか?

持分がなくても、私道所有者から通行・掘削承諾書を得られれば、売却を進められるケースが多くあります。ただし承諾が得られない場合は、買主の住宅ローン審査に影響することがあるため、事前の確認が重要です。

前面道路が公道か私道かは、どこで確認できますか?

法務局で道路部分の地番を特定し、登記事項証明書(登記簿謄本)を取得することで、所有者が個人・共有者なのか、国や市町村なのかを確認できます。ご自身での確認が難しい場合は、当社が代行することも可能です。

実家カルテ 所見一覧(記入例・サンプル)

実家カルテでは、この項目も含めた13項目をまとめて所見にします