「実家の庭木が、お隣の敷地にだいぶ伸びてしまっているようで」──空き家になった実家のご相談で、こうしたお話をうかがうことがあります。誰も住まなくなると庭の手入れが行き届かなくなり、気づかないうちに枝や塀が隣の土地にはみ出していることは珍しくありません。この「越境」は、公図や登記簿を机上で調べても分からず、実際に現地へ足を運んで初めて分かる項目です。磐田市・袋井市で長く空き家になっているご実家をお持ちの方は、まずこの点を知っておいていただければと思います。
この項目でカルテがつける判定
実際のカルテ見本でも、項目7「越境の可能性」は−未確認で記載しています。見本の所見は「庭木・塀・屋根等の越境の有無は、現地でなければ確認できません。長期間空き家の場合、庭木の越境が生じやすいため、現地確認をおすすめします。」というものです。他の項目の多くは登記簿や公図といった机上の資料から●要対応・○支障なしといった判定ができますが、越境だけは資料だけでは判断できず、必ず現地を見て初めて判定が動く、という特徴があります。
なぜ売却の支障になるのか
越境とは、建物の軒(屋根の張り出し部分)や庭木の枝・根、塀、給排水管などが、境界線を越えて隣の敷地にはみ出している状態のことです。公図や登記簿には建物や境界の位置は記載されていても、実際の軒の出や庭木の伸び具合までは載っていません。そのため、越境の有無は現地で実物を見比べなければ確認できず、これがカルテで−未確認という判定になる理由です。
空き家になり管理する人がいなくなると、庭木は誰にも剪定されないまま数年、数十年と伸び続けます。その結果、実家が人の住んでいた頃には問題にならなかった枝や根が、いつの間にか隣地に達しているというケースが起こりやすくなります。塀についても、古いブロック塀や石積みが年月とともに傾き、境界線を越えてしまっていることがあります。
売却の実務では、越境が見つかった場合、将来のトラブルを防ぐために隣地の所有者と「越境の覚書(越境に関する覚書)」を取り交わすことがあります。これは、越境の事実と、将来建て替えや剪定の際にはお互い解消に協力する、といった内容を書面で確認しておくものです。買主にとっても、こうした覚書があるかどうかは安心材料の一つになります。
また、2023年4月に施行された改正民法では、隣地の竹木の枝が境界を越えている場合について、一定の要件(竹木の所有者に切除を催告しても相当の期間内に切除されないときなど)を満たせば、越境されている側が自分で枝を切り取ることができる規定が整備されました(民法233条)。ただし、要件を満たすかどうかの判断には注意が必要で、実際に対応する際は専門家に個別に確認されることをおすすめします。
磐田市・袋井市での実際
磐田市・袋井市エリアでも、空き家期間の長いご実家で、庭木が隣地に大きくはみ出している、境界のブロック塀が傾いているといったご相談を見かけることがあります。特に旧集落の敷地は隣家との距離が近いことも多く、越境が生じやすい傾向があります。一方で、越境があるからといって必ずしも大きな問題になるとは限らず、程度や隣地所有者との関係性によって対応の仕方も変わってきます。
大切なのは、まず現地を確認し、実際の状況を正確に把握することです。そのうえで、隣地の所有者との関係性にも配慮しながら、必要であれば剪定や覚書の取り交わしを進めていきます。境界や越境の詳しい調査が必要な場合は、土地家屋調査士にご相談いただくこともあります。当社でも現地確認からご相談まで対応しておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
解消の流れと関わる専門家
越境の可能性がある場合の一般的な流れは次のとおりです。
- ▲・−の項目を現地で確認する──越境・道路幅員・建物現況など、机上の資料だけでは確認できなかった項目を、実際に現地で確認します。
- 売却活動へ──支障の解消(剪定・覚書の取り交わしなど)と並行して、売り方や価格の方針を決め、売却活動に進みます。
当社ができること:現地を確認し、越境の状況を写真付きの「現地確認レポート」として整理してお渡しします(33,000円税込〜)。媒介契約後は、隣地所有者とのやり取りの窓口や覚書の準備を含め、必要な手配から売却活動・契約・決済まで、当社がワンストップで対応します。
費用と期間の目安
現地確認レポートの費用は33,000円税込〜が目安です。実際に庭木の剪定や塀の補修が必要になった場合は、木の本数や塀の規模によって幅がありますが、剪定は数万円程度、塀の補修や作り替えとなると規模に応じてさらに費用がかかることがあります。いずれも現地の状況次第で大きく変わりますので、確定額は業者の見積りでご確認ください。※本カルテ・本記事は価格査定ではなく、あくまで目安としての情報提供です。
よくある誤解・FAQ
隣の家の木の枝が境界を越えている場合、自分で切ってもいいですか?
2023年4月施行の改正民法により、竹木の所有者に切除を催告しても相当の期間内に切除されないときなど、一定の要件を満たせば自分で切り取ることができる規定が整備されました。ただし要件の判断が必要ですので、対応の前に専門家へご相談いただくことをおすすめします。
越境があると、実家は必ず売れなくなりますか?
越境があるからといって、それだけで売却できなくなるわけではありません。程度によっては剪定や補修で解消できますし、解消が難しい場合でも隣地所有者との覚書を取り交わすことで売却を進められるケースが多くあります。まずは現地で状況を確認することが大切です。
越境の覚書は必ず必要ですか?
越境が軽微で解消できる場合は、覚書がなくても問題にならないこともあります。一方で、解消が難しい越境が残る場合は、将来のトラブルを防ぐために隣地所有者と覚書を取り交わしておくと、買主にとっても安心材料になります。状況に応じてご提案します。
実家カルテでは、この項目も含めた13項目をまとめて所見にします