「増築した部分は登記していないと思う」──実家の建物について、こうしたお話をうかがうことがあります。特に古くからある木造の家では、何十年も前に増築した部分が、当時のまま登記されていないというケースも珍しくありません。ご本人が住んでいる間は特に困ることがなくても、売却や相続の場面になると、この「未登記」がそのまま支障として表に出てきます。まずは、建物登記がどういう状態になっているかを確認するところから始めましょう。

この項目でカルテがつける判定

支障なし の場合も、未登記建物があると●要対応に変わります

実際のカルテ見本では、項目13「建物登記の有無・未登記建物」は○支障なしで記載しています。見本の所見は「建物登記が備わっており、登記に関する支障は確認していません。」というものでした。建物の登記(表題登記・保存登記)がきちんと備わっていれば、この項目は○支障なしとなります。一方で、母屋の増築部分など建物の一部でも登記されていない未登記建物がある場合は、この項目は●要対応になります。登記記録上の床面積と、実際の建物の床面積が異なっているケースの多くは、この増築部分の未登記が原因です。

要対応 要確認 支障なし 未確認

なぜ売却の支障になるのか

建物を新築したとき、あるいは登記のない建物を相続などで取得したときは、所有権を取得した日から1ヶ月以内に「表題登記」を法務局へ申請することが不動産登記法47条で義務付けられています。申請を怠ると、同法164条により10万円以下の過料の対象になり得ますが、実務上これで実際に過料が科された例は少ないとされています。とはいえ、罰則の有無にかかわらず、表題登記がされていないと次の手続きに進めないという点が、売却では大きな問題になります。

表題登記がなければ、その後の「所有権保存登記」(相続の場合は相続人による保存登記)を行うこともできず、当然ながら売却時の所有権移転登記にも進めません。つまり未登記のままでは、法的には売却の手続き自体が完了できないのです。また、未登記の建物は金融機関にとって担保としての評価がしづらく、買主が住宅ローンを利用しようとしても融資を受けにくくなるため、結果として買い手が限定されやすくなる面もあります。

実務でよく見られるのは、建物全体ではなく増築部分だけが未登記というケースです。母屋は登記されているものの、後から増築した居間や物置部分が登記されておらず、登記床面積と現況の床面積が一致していない、という状態です。この場合は建物全体の表題登記ではなく、増築部分についての「表題部変更登記」が必要になります。

磐田市・袋井市での実際

磐田市・袋井市エリアでは、古い木造家屋や、代を重ねて増築を繰り返してきた実家で、増築部分が未登記のまま残っているケースが地域でも見られます。建てられた年代が古いほど、当時の記録や図面が手元に残っていないことも多く、どこまでが登記済みでどこからが未登記なのか、ご家族だけでは判断が難しい場合もあります。

建物の表題登記や表題部変更登記は、土地家屋調査士が現地調査・測量を行ったうえで申請する手続きです。管轄の法務局は、磐田市・袋井市の物件の場合、法務局浜松支局になります。まずは登記事項証明書(建物)を取得し、現況と登記内容にずれがないかを確認することが最初の一歩です。ご自身での判断が難しい場合は、土地家屋調査士へのご相談をおすすめします。当社では提携の土地家屋調査士・司法書士をご紹介できますので、まずはお気軽にご相談ください。

解消の流れと関わる専門家

未登記建物がある場合の、一般的な解消の流れは次のとおりです。

  1. 現地で建物の現況を確認する(増築の有無、登記床面積との相違点をチェック)
  2. 土地家屋調査士による表題登記(または表題部変更登記)の申請
  3. 相続が絡む場合は、相続人を確定させ、司法書士による所有権保存登記(相続登記)を行う
  4. 登記が完了した建物として、売却活動へ

表題登記・表題部変更登記は土地家屋調査士が、保存登記や相続登記は司法書士が担当する、という役割分担になります。窓口が分かれるため、どこに何を頼めばよいか分かりにくい部分ですが、当社が間に入って整理することができます。

当社ができること:現地確認レポート(33,000円税込〜)として、建物の現況を写真付きで整理してお渡しします。あわせて提携の土地家屋調査士・司法書士をご紹介し、登記までの手配窓口を当社が担います(紹介料はいただきません)。媒介契約後は、登記完了後の売却活動から契約・決済まで、当社がワンストップで対応します。

費用と期間の目安

表題登記(表題部変更登記を含む)は、建物の規模や増築部分の状況によって土地家屋調査士報酬の金額が変わります。保存登記や相続登記には、司法書士報酬に加えて登録免許税がかかり、登録免許税は原則として固定資産税評価額の0.4%が目安です。ただし未登記部分については固定資産税評価額自体がまだ決まっていない場合もあり、その際は評価が整ってからの計算になります。

期間の目安は、現地調査や測量の状況にもよりますが、表題登記の申請までにおおむね数週間から1ヶ月程度、相続登記も並行して必要な場合はさらに1〜2ヶ月程度みておくと安心です。金額・期間ともに個々の建物の状況で大きく変わりますので、確定額は土地家屋調査士・司法書士の見積りでご確認ください。※本カルテ・本記事は価格査定ではなく、あくまで目安としての情報提供です。

よくある誤解・FAQ

未登記のまま何十年も住んでいるが、それでも問題になりますか?

住み続けているだけであれば、日常生活で困ることは少ないかもしれません。ただし売却や相続の場面では、表題登記がないと所有権保存登記や売却時の名義変更に進めないため、そのタイミングで必ず表面化します。早めに現況を確認しておくと安心です。

建物全体ではなく、増築部分だけが未登記の場合はどうなりますか?

その場合は建物全体の表題登記ではなく、増築部分についての「表題部変更登記」を申請することになります。登記記録上の床面積と現況の床面積が異なっている場合は、この可能性が高いです。土地家屋調査士による現地調査で、必要な手続きの範囲を確認します。

未登記のまま売却することはできませんか?

法律上、表題登記がない建物のままでは所有権移転登記に進めないため、原則として売却の完了前に登記を済ませる必要があります。買主側から見ても、未登記のままでは住宅ローンの利用が難しく、購入をためらう要因になりやすい点にもご留意ください。

実家カルテ 所見一覧(記入例・サンプル)

実家カルテでは、この項目も含めた13項目をまとめて所見にします