ATAWI FUDOSAN 富士ヶ丘サービス株式会社

2026年8月18日|カテゴリ:売却実務/媒介契約

お盆が明けて、媒介契約が三か月目を迎える──
更新するか、会社を替えるか、値段を下げるか

お盆が明けて、媒介契約が三か月目を迎える。更新するか、会社を替えるか、値段を下げるか。磐田市・袋井市

この記事の要点

Q. 5月の連休明けに実家の売却を頼んで、そろそろ三か月です。「更新しておきますね」と電話がありました。特に何も決まっていないのですが、そのまま続けてよいのでしょうか。

A. 「そのまま」でよいかどうかを決めるのは、売主です。専任媒介契約の有効期間は宅地建物取引業法で「三月を超えることができない」と定められ、更新は「依頼者の申出により」行うものとされています(同法第34条の2第3項・第4項)。つまり放っておけば自動で続く契約ではありません。むしろ自動更新のような特約は、同条第10項により無効です。ですから三か月目は、売主が主導権を持って判断できる、契約上ただ一度の区切りだと考えてください。判断材料は感覚ではなく数字です。専任媒介なら2週間に1回以上(専属専任は1週間に1回以上)の業務処理状況の報告が法律上の義務ですから、3か月分の報告書が手元にあるはずです。そこに載っている問い合わせ数・内覧数と、レインズの取引状況(ステータス)を並べれば、「更新する・会社を替える・値段を下げる」の三択はかなり絞れます。磐田市・袋井市では、介護施設の運営から不動産事業を始めた富士ヶ丘サービスのような「介護×不動産」専門の会社に相談するという選択肢があります。

お盆が終わりました。

ご相談の電話が増えるのが、実はこの時期です。「帰省して兄弟と話したので、そろそろ動きます」という新しいご相談と、もうひとつ。「春に売り出したのに、まだ決まらないんです」というご相談です。

後者には、共通の事情があります。4月・5月に媒介契約を結んだ家は、8月の今、ちょうど有効期間の満了を迎えているのです。

そして多くの場合、こういう電話がかかってきます。「またこの条件で三か月、更新しておきますので」。

その電話に、なんとなく「はい」と答える前に読んでいただきたいというのが今日の記事です。制度の内容は2026年8月18日時点で公表されているものに沿って書きます。

媒介契約は、自動では続かない

まず、いちばん大事な条文を確認します。宅地建物取引業法第34条の2は、こう定めています。

第3項 依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することを禁ずる媒介契約(=専任媒介契約)の有効期間は、三月を超えることができない。これより長い期間を定めたときは、その期間は、三月とする。

第4項 前項の有効期間は、依頼者の申出により、更新することができる。ただし、更新の時から三月を超えることができない。

第10項 第三項から第六項まで及び前二項の規定に反する特約は、無効とする。

読み方のポイントは2つです。

ひとつ目。上限は三か月で、それより長い期間を書いても三か月に切り縮められます。「半年でお願いします」と契約書に書いてあっても、法律上は三か月です。

ふたつ目。更新するのは「依頼者の申出により」です。依頼者とは売主、つまりご家族のことです。不動産会社の側から自動で延長する仕組みではありません。「自動的に更新されるものとする」という特約を入れても、第10項で無効になります。

ですから実務では、満了前に不動産会社が売主へ連絡し、「更新しますか」と聞いてくる。ここで売主が「はい」と言えば更新、言わなければ満了で終わる。この一往復が、売主にとって年に何度もない意思表示の機会です。

なお、一般媒介契約には法律上の期間制限がありません。ただし国土交通省の標準媒介契約約款では三か月以内とされており、実務上も三か月で区切るのが通例です。

更新の前に、三か月分の「数字」を出してもらう

「更新しますか」と聞かれたら、その場で答えなくて構いません。まず出してもらうものがあります。

1. 業務処理状況の報告書(法律上の義務です)

同法第34条の2第9項は、専任媒介契約なら2週間に1回以上、専属専任媒介契約なら1週間に1回以上、業務の処理状況を報告しなければならないと定めています。国土交通大臣指定の東日本レインズも、この報告は文書または電子メールによると案内しています。

三か月なら、専任媒介で最低6回。その6通が手元にあるかどうかを、まず確認してください。

そして報告書にこの3つの数字が入っているかを見ます。

さらに第8項は、売買の申込みがあったときは遅滞なく依頼者に報告しなければならないと定めています。「実は先月、指値の話がありまして」が更新の相談で初めて出てくるようなら、それ自体が判断材料です。

2. レインズの登録証明書と、取引状況のステータス

専任媒介契約を結んだ会社には、指定流通機構(レインズ)への登録義務があります。東日本レインズの案内では、専属専任媒介は媒介契約締結日の翌日から5日以内、専任媒介は7日以内(いずれも休業日を除く)に登録することとされています。登録したら登録を証する書面(登録証明書)を遅滞なく売主へ引き渡すのが法律上の義務です(同条第6項)。

そして2025年1月1日からは、宅地建物取引業法施行規則の改正により、レインズの取引状況(ステータス)の登録・更新が義務化されました。物件の実際の販売状況とステータスが食い違っていれば、宅地建物取引業法第65条に基づく指示処分の対象になります。売主に交付される登録証明書には二次元コードが載り、売主自身がスマートフォンで自分の物件のステータスを確認できるようになっています。

更新の判断の前に、この画面を一度見てください。「公開中」になっているか。「書面による購入申込みあり」のまま止まっていないか。この話はレインズのステータスと囲い込みで詳しく書きました。

三択の決め方──数字のパターンで分かれます

ここからが本題です。「更新する・会社を替える・値段を下げる」は、三か月分の数字のパターンで、かなり機械的に決まります。

三か月の結果読み取れることまず取る手
問い合わせも内覧もほぼゼロ価格が市場とずれているか、そもそも情報が届いていない広告の出し方を確認。掲載媒体・写真・図面を見て、直っていなければ会社を替える。届いているのに反応がないなら価格の見直し
問い合わせはあるが内覧に至らない写真・間取り図・説明文の段階で落ちている販売図面と写真の作り直し。ここは更新して改善を求めるのが先
内覧はあるが決まらない現地で「思ったより」と感じさせる何かがある内覧者の感想を全件出してもらう。片付け・草・水回りなど直せる点を先に処理
申込みは入るが流れる買主の資金や条件の詰めが弱い更新のうえ、事前審査の確認手順を改めてもらう
報告書が来ていない・ステータスが不自然法定の義務が果たされていない更新しないという選択を正面から検討してよい

この表の使い方で大事なのは、いきなり値下げに飛ばないことです。

値下げは効きます。ただし一度下げた値段は戻せません。内覧に来た人の数がゼロなのか、来ているのに決まらないのかで、原因はまったく違います。内覧が起きているのに決まらない物件を値下げしても、同じ場所でつまずくだけです。

会社を替えるときに知っておくこと

替えると決めた場合、いちばん簡単なのは「更新しない」ことです。満了すれば契約は終わります。申し出て途中解除するより、期間満了を待つほうが話が穏やかに済みます。お盆明けの今が満了期なら、タイミングとしては最も自然です。

ただし、次の2点は確認しておいてください。

そして替えるなら、次の会社には「前の三か月の記録」をそのまま渡してください。反響数、内覧数、内覧者の感想。ゼロから始めるより、三か月分の失敗が乗った状態で始めるほうが、はるかに早く着地します。

値段を下げると決めたときの、下げ方

それでも、値下げが正解の場面はあります。特に問い合わせ自体が起きていないときです。

まず、値下げの根拠を会社に説明させる

ここで使える条文がもうひとつあります。宅地建物取引業法第34条の2第2項は、売買すべき価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと定めています。

これは最初の査定のときだけの話ではありません。「そろそろ100万円下げましょう」と言われたときも同じです。「なぜ100万円なのか」を、成約事例で説明してもらってください。根拠を示すのは義務です。遠慮する場面ではありません。査定額の作られ方については査定額のからくりに書いています。

下げ幅は「検索の区切り」を意識する

実務でよく効くのは、買主が検索するときの区切りをまたぐ下げ方です。

ポータルサイトで家を探す人は、上限価格を切りのいい数字で入れます。1,500万円以下、2,000万円以下、2,500万円以下。2,080万円の家は、「2,000万円以下」で検索している人の画面に一度も出てきません。

ですから、2,080万円を50万円下げて2,030万円にしても、届く人はほとんど増えません。同じ下げるなら、1,980万円まで下げて区切りをまたぐほうが、母数そのものが変わります。

下げ幅の大小より、「またぐかどうか」。これは磐田・袋井の価格帯でも、はっきり効きます。

下げるなら一度で、理由を添えて

50万円ずつ三回下げると、閲覧者には「まだ下がりそうだ」という印象だけが残ります。値下げの回数が多い物件は、指値も入りやすくなります。指値への向き合い方は値引きと指値に書きました。

下げると決めたら、一度で、必要な幅を。そして販売図面の説明文を、値下げに合わせて書き直す。「価格改定しました」だけでなく、更新した内容を見せる。販売図面は売主も読むべき書類です(販売図面を売主が読む)。

磐田・袋井で、八月下旬に更新期を迎えるということ

季節の話をします。

磐田市・袋井市で住宅を探している方の動きは、秋に一度、はっきり戻ります。お盆が終わり、暑さが少し緩む9月から11月にかけて、内覧の予定が入りやすくなる。年内に決めて年明けに引っ越したい、来春の入学に間に合わせたい、という事情が重なるためです。

つまり8月下旬の更新期は、いちばん動く時期の直前にあります。ここで手を打つかどうかで、秋の三か月がまったく違うものになります。

この地域特有の事情も、判断に入れてください。

最後の点は、更新の前に必ず現地を見てから決めてください。三か月前の状態を前提に判断すると、間違えます。

富士ヶ丘サービスがしていること

当社は、磐田市見付で介護施設を運営するところから不動産の仕事を始めました。ご相談の入口は、たいてい「親が施設に入った」「親を看取った」です。

他社で売り出して決まらなかった実家のご相談も、よくいただきます。そのときにまずお願いしているのが、三か月分の報告書を持ってきていただくことです。

そこには、たいてい答えが書いてあります。反響がないのか、内覧で落ちているのか、申込みが流れているのか。原因が違えば、打つ手も違います。「とりあえず下げましょう」で始まる相談は、たいてい原因を見ていません。

私たちが目指しているのは「高く売る」だけではなく、「家族が困らない売却」です。介護費用の見通し、相続人の事情、そして売却の期限。この3つを一度に見られることが、介護から始まった不動産会社の強みだと思っています。仲介手数料の考え方は仲介手数料の話に正直に書いています。

価格の前に事実を整理する道具として、ふじがおか実家カルテを用意しています。

まとめ

三か月というのは、法律がわざわざ上限として定めた長さです。売主が定期的に判断し直せるように、そう決められています。

「更新しておきますね」の電話は、本来「この三か月をどう評価しますか」という問いです。数字を見てから答えれば、それだけで次の三か月は変わります。

ふじがおか実家カルテ|他社で売り出し中の実家のご相談も承ります

三か月分の報告書を、一緒に読みます。

住所と現在の売出条件をもとに、反響・内覧・申込みのどこで止まっているのか、レインズのステータス、価格帯と検索の区切り、名義と相続登記の状況を整理し、次に何をすべきかを1枚にしてお出しします。作成料0円・入力約1分。申込みだけで売却依頼にはなりません。

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参考にした公式情報


本記事は2026年8月18日時点で公表されている法令・制度に基づく一般的な解説であり、個別の媒介契約についての判断を示すものではありません。媒介契約の解除、費用の償還、報酬の請求に関する取り扱いは、実際に締結された媒介契約書および約款の定めによります。契約書の内容は必ずご自身でご確認のうえ、疑義があれば締結先の宅地建物取引業者、または静岡県くらし・環境部の宅地建物取引業担当窓口へご相談ください。相続登記は司法書士へ、譲渡所得の課税関係は税理士へ、境界の確定は土地家屋調査士へご確認ください。個別のご相談は当社までどうぞ。

著者・大石浩之(宅地建物取引士)の顔写真

この記事を書いた人:大石浩之(宅地建物取引士)

磐田市・袋井市で「介護×相続×空き家」に特化した不動産売却支援を行う富士ヶ丘サービスの代表取締役・宅地建物取引士。介護施設の運営から不動産事業を始めた経験をもとに、売主とご家族が困らない売却を一件ずつお手伝いしています。プロフィール

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富士ヶ丘サービス株式会社/静岡県磐田市見付5789番地1/TEL:0538-31-3308/静岡県知事 (2) 第14083号/代表取締役・宅地建物取引士 大石 浩之