「実家の名義が、私と弟の共有になっているんです」──ご相談の中で、時々お聞きする言葉です。ご両親が亡くなられたあと、遺産分割の話し合いがまとまらないまま、あるいは「とりあえず」で法定相続分どおりに登記してしまい、そのまま何年も経っている実家は、磐田・袋井のエリアでも少なくありません。共有名義そのものは違法でも特別なことでもありませんが、いざ売却するとなると、単独名義の実家とは違う手続きが必要になります。まずは何が必要になるのか、順を追って整理しましょう。

この項目でカルテがつける判定

要対応 になりやすい項目です

実際のカルテ見本では、項目2「共有名義の有無」は○支障なしと記載しています。見本の所見は「単独名義であり、共有に関する支障は確認していません。」というものです。見本の物件はたまたま単独名義だったため○支障なしとなっていますが、これは共有名義であれば良い・悪いという話ではありません。共有名義の実家の場合、この項目は●要対応になりやすいのが実際のところです。

要対応 要確認 支障なし 未確認

なぜ売却の支障になるのか

共有名義の不動産を売却する(=共有物全体を処分する)には、民法上、共有者全員の同意と、契約書・登記書類への署名・押印が必要になります。共有者のうち一人でも「売りたくない」「連絡が取れない」という状態があると、売却そのものが進められなくなってしまいます。自分の持分だけを単独で売却することは法律上可能ですが、実務上は持分だけの買い手はほとんど見つからず、現実的な選択肢にはなりにくいのが実情です。

共有名義になる背景として多いのは、相続の際に遺産分割協議がまとまらないまま、法定相続分どおりに共有登記をしてしまうケースです。また、そもそも相続登記自体が済んでおらず、亡くなった方の名義のまま相続人全員の共有状態になっている、というケースも見受けられます。この場合は、共有の解消と合わせて相続登記も必要になります。

共有者の中に、長年連絡を取っていない、あるいは所在がわからない方がいる場合は、より慎重な対応が必要です。2023年4月に施行された所有者不明土地関連の法改正により、裁判所の関与のもとで、所在等が不明な共有者の持分を取得したり、持分を第三者に譲渡したりできる制度が整えられています。ただし、こうした制度が個別のケースに実際に適用できるかどうかは要件の確認が必要ですので、司法書士や法務局への相談をおすすめします。話し合いそのものが難航している場合は、家庭裁判所の遺産分割調停という選択肢もあります。

磐田市・袋井市での実際

磐田市・袋井市エリアでも、相続をきっかけに何十年も前から共有名義のまま手をつけられていない実家に出会うことがあります。世代が一つ、二つと下るうちに共有者の数が当初の数人から十数人規模に膨らんでいた、というケースも実際にありました。共有者が増えるほど、全員の意向確認や書類のやり取りに時間がかかりやすくなります。

共有関係や持分の状況は、法務局で登記事項証明書を取得すれば確認できます。ご自身の実家がどのような共有関係になっているか分からない場合や、共有者の一部と長らく連絡を取っていない場合は、まず法務局での確認と、司法書士へのご相談から始めることをおすすめします。当社でも、この段階からのご相談をお受けしています。

解消の流れと当社ができること

共有名義の実家を売却に進めるまでの一般的な流れは、次のとおりです。

  1. 共有者全員での話し合い(売却の方針・進め方について合意形成)
  2. 相続登記が未了の場合は、戸籍の収集・遺産分割協議書の作成・司法書士による登記申請(完了までの目安は1〜2ヶ月程度)
  3. 共有者全員の同意のもとで、売り方や価格の方針を決めて売却活動へ

共有者同士が離れて暮らしていたり、これまで実家の管理に関わってきた度合いに差があったりすると、話し合いそのものに時間がかかることもあります。無理に急がず、まずは共有者全員が同じ情報を共有できる状態を作ることが、遠回りのようで一番の近道になることが多いです。

当社ができること:相続登記が必要な場合は、提携の司法書士をご紹介し、戸籍収集や書類の段取りまで当社が窓口になって進めます(紹介料はいただきません)。共有者の皆様への状況説明や資料のご用意もお手伝いできます。売却をご依頼いただく場合は、媒介契約後の手配すべてと、売却活動・契約・決済までを当社がワンストップで対応します。

費用と期間の目安

共有者間の話し合いがスムーズに進む場合、相続登記が完了していれば売却活動そのものは単独名義の実家と大きく変わりません。一方、相続登記が未了で共有者の数も多い場合は、戸籍収集や書類のやり取りに数ヶ月単位の時間がかかることもあります。あくまで目安ですが、状況によって幅がありますので、まずは現状を確認するところから始めるのがよいかと思います。

費用面では、相続登記が必要な場合は司法書士報酬・登録免許税・戸籍謄本等の取得実費がかかります。金額は実家の評価額や共有者の数によって変わりますので、確定額は司法書士の見積りでご確認ください。※本カルテ・本記事は価格査定ではなく、あくまで目安としての情報提供です。

よくある誤解・FAQ

共有者の一人が認知症などで判断が難しい場合は?

ご本人の判断能力の程度によりますが、意思確認ができない状態での署名・押印は法的に有効な同意とは認められません。成年後見制度の利用が必要になる場合がありますので、司法書士や弁護士への相談をおすすめします。当社からもご案内できます。

共有者の一人だけが自分の持分を売ることはできますか?

法律上は可能ですが、持分だけを購入する買い手は限られており、実勢価格より大幅に低い価格でしか売却できないことが多いのが実情です。多くの場合、共有者全員での売却を目指すほうが現実的です。

共有者の一人と連絡が取れないのですが、どうすればよいですか?

まずは戸籍の附票などで所在の調査を行います。それでも連絡がつかない場合は、裁判所の関与のもとで持分を取得・処分できる制度が2023年の法改正で整えられていますので、司法書士や法務局へのご相談をおすすめします。

実家カルテ 所見一覧(記入例・サンプル)

実家カルテでは、この項目も含めた13項目をまとめて所見にします