「実家の土地は、地主さんから借りているんです」──カルテのご相談で、時々うかがう言葉です。磐田・袋井の古くからの集落や商店街の周辺には、建物は自分のものでも、土地は地主から借りている、いわゆる借地権付きの実家が今も残っています。住んでいるあいだは特に気にならないことでも、いざ売却しようとすると、土地が「借りもの」であることが大きな支障として表面化することがあります。まずは何が問題になるのか、落ち着いて整理しましょう。
この項目でカルテがつける判定
実際のカルテ見本では、項目4「借地・底地・地上権等」は○支障なしとして記載しています。見本の所見には「借地・地上権等の権利は登記上確認されません。所有権の土地・建物です。」とあり、この物件は土地・建物とも所有権であるため、支障なしと判定されました。一方で、実家の土地が借地権(賃借権)や地上権である場合は、この項目は▲要確認になります。所有権の実家であればこの項目は気にしなくて大丈夫ですが、契約書に「賃貸借」「地代」といった記載がある、あるいは地主さんに地代を払ってきた記憶がある、という場合は、次の点を確認しておく必要があります。
なぜ売却の支障になるのか
借地権(賃借権)が設定された土地の上に建つ建物を売却する場合、建物そのものは所有者の自由になりますが、土地を借りる権利(賃借権)を買主に引き継ぐには、原則として地主(賃貸人)の承諾が必要です(民法612条)。地主に無断で借地権を譲渡してしまうと、契約解除の事由になり得るとされており、地主の承諾を得ずに話を進めてしまうことはおすすめできません。なお、同じ「土地を使う権利」でも地上権の場合は、権利の性質上、地主の承諾がなくても譲渡できるとされていますが、実務上はやはり地主との関係を整理しておくのが望ましいとされています。
また、地主から譲渡の承諾を得る際には、実務の慣行として「名義書換料」といった金銭のやり取りが発生することがあります。これは法律で定められた義務ではなく、地域や契約内容による慣習的なものですので、必ず発生するとは限りません。もし地主が承諾してくれない場合には、借地借家法19条に基づき、裁判所に承諾に代わる許可を求める「借地非訟」という制度を利用できる場合があります。このほか、地主側の土地の所有権(底地)を借地人であるご自身が買い取り、土地・建物とも完全な所有権にしてから売却するという方法も選択肢のひとつです。どの方法が適しているかはケースによって異なりますので、契約内容や地主との関係を踏まえて確認していく必要があります。
磐田市・袋井市での実際
磐田市・袋井市エリアでは、旧集落や昔からの商店街周辺を中心に、借地権付きの家屋が今も残っていることがあります。何十年も前に結ばれた賃貸借契約が、契約書のかたちで残っていない、あるいはどこにあるか分からなくなっているケースも珍しくありません。契約書が見当たらない場合でも、固定資産税の課税明細や、これまでの地代の支払い記録から、地主や地代の額を確認できることもあります。まずは契約書類の有無を確認し、見当たらない場合は地主やそのご家族に契約内容を照会してみることが最初の一歩になります。
地主との関係も、長年のお付き合いのなかで良好なこともあれば、代替わりして関係が薄くなっていることもあります。特に地主側も世代交代している場合、先代からの経緯が伝わっておらず、あらためて説明や確認が必要になることもあります。権利関係の確認は法務局で登記情報を取得することから始まり、契約内容の解釈や地主との交渉の進め方については、司法書士や弁護士へのご相談をおすすめします。当社では提携の専門家をご紹介できますので、まずはお気軽にご相談ください。
解消の流れと関わる専門家
借地権付きの実家を売却に進めるための一般的な流れは、次のとおりです。
- 賃貸借契約書の有無を確認し、契約内容(地代・期間・条件等)を整理する
- 地主に対し、譲渡(売却)についての意向を照会し、承諾を得る
- 必要に応じて名義書換料の協議、または底地買取・借地非訟等の検討を行う
このように机上の確認だけでは分からない部分は、契約書類の確認や地主への照会という形で、実際に現地・現場に即して確認していく必要があります。地主との話し合いは、当事者同士だけで進めるとお互いに感情的になりやすい面もありますので、司法書士や弁護士、あるいは当社のような専門家が間に入ることで、話が整理しやすくなることもあります。当社ができること:契約書類の確認状況や地主とのやり取りの経過を、写真や資料付きで整理した現地確認レポート(33,000円税込〜)としてお渡しします。支障の解消と並行して、売り方や価格の方針を決め、売却活動へと進めることができます。媒介契約をご依頼いただいた後は、地主との調整も含め、手配のすべてと売却活動・契約・決済まで、当社がワンストップで対応します。
費用と期間の目安
名義書換料は、一般に更地価格の数%程度が目安と言われることがありますが、これはあくまで一つの目安にすぎず、地域や契約内容、地主との関係によって大きく異なります。金額や支払いの要否そのものが交渉事項になることも珍しくありません。底地を買い取る場合の価格や、借地非訟による裁判所の許可までにかかる期間も、事案ごとの個別事情によって幅があり、数ヶ月から半年以上かかることもあります。※本カルテ・本記事は価格査定ではなく、あくまで目安としての情報提供です。実際の金額・期間は、契約書類の確認と地主との協議状況を踏まえてご案内します。
よくある誤解・FAQ
地主が譲渡を承諾してくれない場合はどうすればいいですか?
まずは承諾が得られない理由を確認し、話し合いによる解決を試みます。それでも合意に至らない場合は、借地借家法19条に基づき、裁判所に承諾に代わる許可を求める「借地非訟」という制度を利用できる場合があります。手続きには専門家のサポートをおすすめします。
名義書換料は必ず支払わなければならないものですか?
名義書換料は法律で義務付けられたものではなく、地域や契約内容による実務上の慣習です。契約書に明記されている場合や地域の慣行がある場合に発生することが多いですが、必ず支払うものと決まっているわけではありませんので、契約内容の確認が必要です。
底地を買い取ってから売却した方が良いのでしょうか?
底地を買い取って完全な所有権にできれば、その後の売却はしやすくなる面がありますが、買取費用や地主との交渉状況によって適否はケースごとに異なります。借地権のまま地主の承諾を得て売却する方法とあわせて、どちらが現実的かを個別に確認することをおすすめします。
実家カルテでは、この項目も含めた13項目をまとめて所見にします