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所有者不明土地解消法と相続登記義務化|放置実家の売却手順

2026年9月19日|カテゴリ:相続・法改正

所有者不明土地解消法と相続登記義務化を踏まえた実家売却手順を表す表紙画像

この記事の要点

Q. 亡くなった祖父名義のまま放置された実家があります。相続登記義務化と売却はどう進めればいい?

2024年4月に相続登記が義務化され、過去の相続分も2027年3月末までに登記を完了させる必要があります。祖父名義の不動産はそのまま売却できません。まず司法書士と連携して戸籍を遡り、相続人全員で遺産分割協議を行って現所有者を一本化します。更地化や片付けにお金をかける前に、まずは『現状有姿で買い取れるか』を含めて専門家へ査定相談することが失敗しない近道です。

遠州地方(磐田市・袋井市・森町)の住宅地や農村部を歩いていると、「長年誰も住んでいない古い日本家屋」や「草木が生い茂ったままの土地」を目にする機会が増えました。ご相談にいらっしゃるご家族のお話を伺うと、「実は昭和の時代に亡くなった祖父の名義のままになっている」「親兄弟が散り散りになっていて手をつけられない」というケースが驚くほど多く存在します。

大石浩之(磐田市/不動産業)です。富士ヶ丘サービス株式会社の代表として、不動産の売買仲介や買取、実家じまいをワンストップでお手伝いしています。2024年4月に施行された「相続登記の義務化」により、これまでのように『放っておく』という選択肢は通用しなくなりました。放置すれば10万円以下の過料のリスクがあるだけでなく、年数が経つほど二次相続・三次相続が発生して権利関係がネズミ算式に複雑化してしまいます。

前回の記事秋の連休に実家で探す重要書類|不動産売却・相続登記で慌てない準備では探すべき重要書類を整理しましたが、本記事ではさらに一歩進め、名義が放置された実家を適法に整理・売却するための実務フローを分かりやすく解説します。

所有者不明土地問題と2024年法改正の重要ポイント

日本全国で九州の面積を上回るほどの「所有者不明土地」が発生し、公共事業の遅延や空き家放置による防災上の危険が深刻化しました。これを抜本的に解決するために制定されたのが「民法・不動産登記法等の改正(通称:所有者不明土地解消法)」です。

法改正の制度名施行時期主な内容と義務怠った場合のペナルティ等
相続登記の申請義務化2024年4月1日〜不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記申請を行う義務。過去の相続も対象(2027年3月末まで猶予)。正当な理由がない場合、10万円以下の過料。
住所等の変更登記義務化2026年4月1日〜所有者の氏名・住所が変更された日から2年以内に変更登記を行う義務。正当な理由がない場合、5万円以下の過料。
相続土地国庫帰属制度2023年4月27日〜相続した不要な土地を国庫に引き渡す制度(更地・境界確定・管理負担金の納付が条件)。建物付きや境界不明の土地は引き取り拒否される。

ここで極めて重要なのは、「過去に発生した相続も遡及して義務化の対象になる」という点です。「祖父が亡くなったのは20年前だから関係ない」ということは一切なく、2027年3月末までに相続登記を済ませなければなりません。

祖父名義の放置実家を売却する4つの基本手順

では、名義が古いままの実家を売却したい場合、どのような手順で進めるべきでしょうか。実務では以下の4段階を踏みます。

  1. 戸籍調査と法定相続人の確定:亡くなった名義人(被相続人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取り寄せ、現在の相続人が何人いるのかを家系図として完全に洗い出します。司法書士へ依頼すれば職権でスムーズに収集できます。
  2. 遺産分割協議書の作成と押印:判明した相続人全員で話し合いを行い、「この実家は長男〇〇が相続して売却し、売却代金を兄弟で分配する(換価分割)」といった方針を決め、全員の実印と印鑑証明書を揃えます。
  3. 相続登記(名義変更)の完了:法務局へ登記申請を行い、登記簿上の所有者を代表相続人の名義へ書き換えます。これで初めて法的に第三者へ売却できる状態になります。
  4. 不動産会社への売却査定と販売活動:物件の現地確認、境界標の確認を行い、仲介での一般売却か、早期の現状有姿買取かを選択して売却を完了させます。

解体更地にする前に、必ず「そのまま売れるか」相談する

実家の相続登記を進める際、多くの方がやってしまいがちな失敗が「家が古くてボロボロだから、先に自分でお金を出して解体して更地にしよう」と焦ることです。

しかし、建物を解体してしまうと住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税が最大6倍に跳ね上がります。もし解体後に土地がすぐに売れなかった場合、毎年高額な固定資産税だけを支払い続けるという最悪の悪循環に陥ってしまいます。さらに、木造住宅の解体費用は現在、人件費と廃材処分費の高騰により150万〜250万円以上かかるのが一般的です。

私ども富士ヶ丘サービスでは、古家や残置物(家具・家電)がそのまま残っている状態であっても、現況のまま買い取る相談を随時受け付けています。片付け費用や解体費用を売主様が事前に持ち出す必要がなく、売却代金の中から相殺・精算できるプランもご提案可能です。

今日できる確認手順

放置された実家の名義や将来の売却について、今日ご家族で始められるアクションは以下の3点です。

  1. 実家の固定資産税納税通知書を手元に用意し、「納税義務者」と「登記名義人」が誰になっているかを確認する。
  2. 兄弟や親族と連絡を取り、「実家の名義変更と今後の処分について相談したい」と意向を共有する。
  3. 地元の不動産会社(富士ヶ丘サービス)または司法書士に、固定資産税の通知書を持参して初期相談を行う。

相続人の数が増えれば増えるほど、話し合いの難易度は上がります。親族が健康で連絡が取れる今のうちに、最初の一歩を踏み出しましょう。

よくあるご質問

Q. 亡くなった祖父名義のまま放置している実家は、そのまま売却できますか?
亡くなった方の名義のままでは買主への所有権移転登記ができないため、そのまま売却することはできません。まず戸籍謄本を取り寄せて相続人を特定し、遺産分割協議を行って現相続人の名義へ変更(相続登記)した上で売却契約を結ぶ必要があります。
Q. 2024年4月に始まった相続登記義務化の罰則はどうなっていますか?
不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しない場合、正当な理由がなければ10万円以下の過料(罰則)が科される可能性があります。法改正前に発生した過去の相続についても、2027年3月末までの猶予期間内に登記を済ませる義務があります。
Q. 買い手のつかない不要な土地は、国に引き取ってもらえますか?
『相続土地国庫帰属制度』を利用すれば一定の要件を満たす土地を国に引き渡すことが可能です。ただし、建物がない更地であること、境界が確定していること、担保権が設定されていないことなどの厳しい審査要件があり、審査手数料や10年分の管理負担金の納付が必要です。

執筆:大石浩之(宅地建物取引士・代表取締役)

著者・大石浩之の顔写真

大石浩之(磐田市/不動産業・宅地建物取引士)

富士ヶ丘サービス株式会社代表取締役。磐田市・袋井市・森町を中心に、相続登記の相談、空き家売却、高齢者住まいの住み替え支援を地域密着で手がけています。詳しいプロフィール

参考にした公的情報(2026年9月確認)

※本記事は2026年9月時点の法令に基づく一般的な解説です。個別の税務・登記手続きについては税理士・司法書士等の専門家へご相談ください。

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