不動産の値下げ広告|旧価格の2か月要件
2026年10月17日|大石浩之の不動産ブログ

この記事の要点
Q. 売出しから2か月待たないと値下げできませんか?
値下げ前後の価格を並べる広告では、旧価格は値下げ直前の価格で、2か月以上公表していたことなどが条件です。旧価格の公表日と値下げ日も表示します。値下げ自体の可否と広告の表示条件は分け、仲介会社に記録と広告案を確認します。
仲介会社から値下げを提案され、金額を了承した。次に確認したいのは、広告でその変更をどう見せるかです。古い価格に線を引き、新しい価格を大きく載せる表示は、自由に作れるものではありません。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。宅地建物取引士として、売主が広告案を見るときの確認箇所を整理します。今回は値下げ幅の交渉術ではなく、旧価格を比較対象に使う二重価格表示の話です。
旧価格は、値下げ直前に2か月以上公表した価格
不動産の二重価格表示では、比較対象にする旧価格の実績を確認します。首都圏不動産公正取引協議会は、旧価格を値下げ直前の価格とし、2か月以上にわたり実際に販売のため公表していたことを条件として説明しています。
二重価格表示とは、ここでは過去の販売価格と値下げ後の価格を並べ、価格の差が分かるように示すことです。売主が心の中で希望していた価格や、査定だけで示された価格を、そのまま過去の販売価格として使う話ではありません。
この期間は、2022年9月1日施行の新施行規則で3か月以上から2か月以上へ短縮されたものです。2026年10月の新しい改正ではありません。公取協の相談事例を2026年10月17日に確認し、売主の広告チェックに置き換えています。
意外に混同しやすいのが、値下げ自体の判断との違いです。2か月に満たなければ価格を変えられない、という説明ではありません。旧価格を比較対象として並べる表示の条件です。価格を変える判断と、広告に載せられる表現を分けます。
私は、値下げの話が出たら価格の履歴を一行ずつ並べる方がよいと考えます。最初の売出し価格だけでなく、途中の変更も残します。「最初はいくらだったか」より、「直前の価格をいつから公表していたか」が、この確認では必要になります。

二つの日付と、物件条件の同一性を確認する
旧価格と新価格を並べる広告には、過去の販売価格の公表日と値下げ日を明示します。公取協は、値下げの日から6か月以内に実施することや、物件の価値に同一性が認められることも条件として挙げています。
売主は価格の数字だけでなく、日付の記載も広告案で確かめます。口頭で「先月から下げています」と聞くだけでは、どの公表日の価格と比較しているか残りません。日付を記した資料なら、家族や担当者が変わっても確認できます。
| 広告案の確認箇所 | 仲介会社へ聞く内容 |
|---|---|
| 比較対象の旧価格 | 値下げ直前の価格か。2か月以上の公表実績があるか |
| 旧価格の公表日 | 実際の販売記録と一致するか |
| 値下げ日 | 変更を反映した日付が明示されているか |
| 表示を続ける期間 | 値下げから6か月以内か。終了を誰が管理するか |
| 物件と条件 | 比較する価格の間で価値の同一性が認められるか |
例えば、土地の売る範囲や建物の扱いを途中で変えたなら、数字だけを比べてよいか確認が残ります。ここでは個別の変更が規約に適合するかを断定しません。変更内容を仲介会社へ伝え、同じ物件として比較できるかを確かめます。
広告の確認には、販売図面を売主が確認する記事も使えます。価格を直したときは、図面や掲載画面の控えを一組にして残すと、変更前後の確認がしやすくなります。
値下げ幅は、売主の手取りとは違う数字
広告で示す値下げ幅は、比較する二つの販売価格の差です。売主の最終的な手取りや、買主にとっての割安さが、その差額だけで決まるわけではありません。
説明用に、旧価格2,000万円から新価格1,900万円へ変える場面を仮定します。広告上の価格差は100万円です。ただし、旧価格の実績や日付などの条件がそろわなければ、差額の大きさだけを理由に二重価格表示はできません。この数字は相場や適正価格の例ではありません。
私なら、値下げの提案書と広告案を別々に確認します。提案書では、売主が受け入れる価格と費用を確認する。広告案では、旧価格の根拠と変更日を確認する。同じ100万円でも、家計の判断に使う場面と、表示の根拠として使う場面が違うからです。
買主の指値に応じるかを考えている方は、値引き交渉と買付条件の記事へ進めます。本記事の表示ルールだけから、いくら値下げすれば売れるかは導けません。家の条件や販売状況を踏まえた判断が別に必要です。
私は、大きな値下げ幅を見せるために旧価格を選ぶ案内はしません。根拠を説明できる価格を載せることが先です。広告の印象を整える都合で、家族が判断した売却条件まで曖昧にしないようにします。
表示ルールの良い点と、記録に残す注文
二重価格表示の条件は、広告を見る人が価格変更の時期と根拠を確かめるための枠組みになります。公取協の相談事例は、比較対象の価格と日付、表示できる期間を具体的に説明しています。
私は、売主にとってもこの明確さは利点だと考えます。仲介会社と「どの価格を、いつから掲載していたか」を共通の記録で確認できるからです。担当者の説明を覚えておくより、日付入りの広告案を残す方が家族内で共有しやすくなります。
その上で注文したいのは、承諾時だけでなく、表示を終える管理まで含めて説明することです。広告の掲載先が複数あるなら、修正先と担当を確認します。私の提案は、値下げを承諾した記録に、広告の確認日と更新担当も添えることです。
ただ、私は値下げの前後で反響がどう変わるかまでは断言できません。表示を整えることは説明の正確さにつながりますが、売れることの保証とは違います。価格変更の効果に迷いが残る場合は、広告の数字だけでなく問い合わせの内容も仲介会社と確かめます。
契約が決まった後の掲載終了は、売却後も広告が消えない場合の確認先で扱っています。今回の旧価格表示の期限と、契約後に広告を残してよいかという話は、別々に管理します。
磐田・袋井の売主が承諾前に渡す記録
磐田市・袋井市で売却中の方も、値下げの承諾前に価格履歴と広告案を一組にして確認できます。今日できる作業は、最初の広告と直前の広告を探し、掲載されていた金額と日付を書き出すことです。
公取協の説明では、現況有姿分譲地としての山林・原野等や、共有制リゾートクラブ会員権は対象外とされています。古い家を現状のまま売るという一般的な説明と、この対象外の区分を、言葉が似ているだけで結び付けないようにします。
同じ相談事例には、前売主から買い取った物件の旧価格を使う場合の説明もあります。条件への適合に加え、前売主から買い取って販売する旨を表示する必要があるとされています。自分が売り出していない時期の価格を使う提案なら、経緯の表示も確認事項です。
私は、まず仲介会社に「直前の価格の公表日が分かる資料をください」と案内します。手元に記録がないときは、推測で日付を作らないことです。価格の履歴、変更する条件、広告案の三つがそろってから、表示の内容を確かめます。
値下げを今日決める必要があるとは限りません。ただ、価格の記録は今から集められます。家族が了承した金額が、どのような言葉と日付で外へ出るのか。そこまで確認することも、売主を支える不動産実務の一部です。
よくある質問
本文の確認事項を、売主とご家族からの疑問の形で整理します。
- 売出しから2か月待たないと値下げできませんか?
- 2か月は、旧価格を比較対象として並べる広告の条件です。売出しから2か月間は価格を変更できない、という意味ではありません。値下げの判断と、旧価格を使った表示の可否を分けます。変更後の価格をどう掲載するかは、販売記録と広告案を仲介会社に示して確認してください。値下げをすれば必ず反響が増えるとも断定できません。
- 最初の売出し価格を旧価格にできますか?
- 比較対象に使う過去の価格は、値下げ直前の価格で、2か月以上実際に販売のため公表していた価格であることが条件です。最初に付けた価格だから使えるとは限りません。途中で価格を変えた場合は、各金額の公表日と変更日を並べ、どの価格を載せられるか仲介会社に確認します。広告の値下げ幅だけを大きく見せる発想は避けます。
- 古い家を現況で売ると二重価格表示できませんか?
- 公取協の説明で対象外とされる現況有姿分譲地は、山林・原野等の非宅地分譲地を指しています。一般に古い家を現状のまま引き渡すという説明と、同じ言葉だけで結び付けないでください。土地建物の種類、取引条件、広告案を仲介会社に示して表示の可否を確認します。現況で売ることと、契約上の責任の範囲も別に確認が必要です。
磐田市・袋井市・森町では、介護施設の運営から不動産事業を始めた富士ヶ丘サービスのような「介護×不動産」専門の会社に相談するという選択肢があります。
参考にした公式情報
出典は2026年10月確認(確認日:2026年10月17日)。本文では資料の基準日と制度の施行日を分けて記載しています。
本記事は2026年10月17日に確認した一般的な情報です。制度・数値・手続は変わる場合があります。重要事項・税務・登記・相続・契約の個別判断は、税理士・司法書士・弁護士・宅地建物取引士など各分野の専門家に確認を。搬出作業の可否は対応業者に確認してください。
