土地売却の損益通算、2物件の利益と損失
2026年10月18日|大石浩之の不動産ブログ

この記事の要点
Q. 土地を2か所売って、一方が赤字なら、もう一方の利益から引けますか?
個人が土地や建物を売って生じた譲渡損失は、他の土地や建物の譲渡所得から控除できます。給与との通算や翌年への持越しは別の問題です。同じ所有者の物件ごとに売却年、取得費、譲渡費用をそろえ、個別の計算は税理士に確認してください。
一方の土地は利益が出そうで、もう一方は買ったときより安くなりそう。2物件を手放す相談では、物件ごとの売値だけでは税負担を整理できません。「赤字」という言葉が、現金の不足を指すのか、税務上の損失を指すのかも確かめる必要があります。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。宅地建物取引士として、私は売却の話を、持ち主が最後に使えるお金へ置き換えて考えます。ここでは実際の相談例を作らず、公式資料と説明用の仮例を使って私の考えを示します。
土地の売却損は他の土地・建物の利益から控除できる
国税庁のタックスアンサーNo.3203は、個人の土地・建物の譲渡損失を、他の土地・建物の譲渡所得から控除できると説明しています。譲渡所得とは、売却によって生じる税務上の利益です。参照ページは2026年4月1日現在の法令等に基づき、2026年10月18日に確認しました。
一つの土地で損失が出ても、その物件だけを見て「税金には関係しない」と決めるのは早計です。同じ個人の他の土地や建物の利益と合わせて確認する余地があります。ただし、家族それぞれの利益と損失を、一世帯の財布として合算する説明ではありません。
国税庁No.3252では、譲渡所得を売却金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算すると説明しています。取得費は購入代金など、譲渡費用は売却に要した費用のうち税務上認められるものです。支払ったお金を何でも引けるという意味ではありません。
私は最初に、売却代金、税務上の利益、決済後の現金を別々に書く形を勧めます。借入金を返した後に現金が残らなくても、それだけで税務上の赤字にはなりません。通帳の入出金と、譲渡所得の計算は目的が違います。
国土交通省の2026年9月18日発表では、10月1日から31日が土地月間です。土地の制度を確かめるこの時期に、複数物件の収支を整理する題材として取り上げます。損失の控除が10月だけ認められる制度ではありません。
2物件を同じ単位で並べる計算例
複数物件の収支を比べるときは、両方とも取得費と譲渡費用を反映した金額にそろえます。一方は売却代金、他方は費用を引いた利益という表では、差引きに意味がありません。
以下は実在物件の相場ではなく、同じ個人が同じ年に売る仮例です。長期・短期の区分が同じで、特別控除などを考えない単純な例とします。土地Aの利益が300万円、土地Bの損失が100万円なら、差引きは200万円です。300万円から引くのは、Bの売却代金ではなく、計算後の損失100万円です。
| 物件 | 取得費等を反映した損益 | 資料の確認 |
|---|---|---|
| 土地A | 利益300万円 | 売却金額、取得費、譲渡費用 |
| 土地B | 損失100万円 | Aと同じ項目をそろえる |
| 差引き | 200万円 | 税額ではなく損益の整理 |
この例で200万円は納める税額ではありません。実際には所有期間による区分、適用を検討する特例、所有持分なども確認します。長期と短期が混在する場合の控除の順番まで、この図の足し引きだけで処理しないでください。
国税庁No.3203は、売却年の1月1日に所有期間が5年を超えるものを長期、5年以下を短期と説明しています。契約した日の時点で5年経っているか、という見方ではありません。取得時期を示す書類も必要です。
私は、節税できそうな額だけを見て、もう一方の土地を急いで安売りする案内はしません。値下げによる現金の減少と、税負担の変化は同額ではないからです。税率や特例を確かめずに「損を出せば得」とは判断できません。まず両物件の資料を同じ条件で並べます。
給与から引けるかは別の確認
土地や建物の譲渡所得から引ききれない損失は、原則として給与所得や事業所得などと損益通算できません。国税庁No.3203は、土地・建物間で控除できることと、他の所得から引けないことを分けて説明しています。
たとえば土地Aの利益が100万円、土地Bの損失が300万円という仮定なら、控除しても200万円の損失が残ります。しかし、その200万円を給与から当然に引けるという意味ではありません。「確定申告をすれば給料の税金が戻る」と、売却前に見込まないようにします。
一定の要件を満たす長期保有の居住用財産には、他の所得との損益通算や、翌年以後3年間の繰越控除の特例があります。居住用財産とは、自分が住むための家など、税務上の条件を満たす財産です。空き地や貸家の売却に、その説明をそのまま移し替えることはできません。
自宅の売却損については、マイホーム売却損の2特例で別に整理しています。本記事は複数の土地・建物の損益を並べる入口です。住宅の特例を使えるかどうかは、住んでいた状況やローンなどの資料を基に税理士へ確認します。
私が良いと考える点は、土地・建物の売却を物件ごとに切り離さず、利益と損失を合わせて確認できることです。家族が財産を整理するとき、1件の売却益だけを見て税負担を思い込まずに済みます。物件一覧を作る意味が、税務の面でもあります。
その上で、私は「損益通算」という言葉だけで説明を終えないでほしいと考えます。給与からも引けるのか、別の年へ持ち越せるのかは別の問いです。借入れの返済で現金が減ったという話まで混ざると、持ち主の見込みがずれます。何と何の間で引けるのか、金額の横に書き添える形を勧めます。
年をまたぐ売却は日付の資料もそろえる
年をまたぐ不動産売却では、売買契約日と引渡日を分けて記録します。本記事の計算例は同じ年の取引を想定しているため、翌年の利益と自動的に相殺できる例ではありません。
私は売却年を確認する際、契約書、決済予定表、引渡しを示す書類を一組にします。税務上どの年に計上するかは、資料と取引内容を見て税理士に確認します。日程が未定の物件については「年内に売れるはず」として計算表を完成させません。
年をまたぐ売却と申告の確認も併せて読めます。年末までに売ること自体を目標にすると、買主との条件調整や測量の予定が後回しになりがちです。私は税の見込みだけで、契約や引渡しの約束を先に固める考えではありません。
同じ年の売却にそろえるかどうかは、私も税額だけでは決めきれません。買主の都合、境界の確認、必要な修繕で、選べる日程は変わります。いま確認できる条件を整理し、売却価格と費用を含めて比較するのが先です。
磐田・袋井で税理士に渡す一枚の表
磐田市・袋井市で複数の土地を売るなら、物件名、所有者、持分、取得日、売却予定年、売価、取得費、譲渡費用を一枚の表にします。国の税制度と、個々の土地の売れ方は分けて確認します。
建物を含む物件は、購入代金をそのまま取得費に置かない確認も必要です。国税庁No.3252は、建物の取得費について、購入代金などから所有期間中の減価償却費相当額を差し引くと説明しています。年数の経過による価値の減少を計算へ反映するため、買値と売値の比較だけでは足りません。
古い実家で購入資料が見つからない方は、実家の取得費と税金の確認を参照できます。不明な取得費をゼロ円として仮計算すると、利益の見込みが大きく変わります。「不明」と書き、探す資料を税理士に聞く方が安全です。
私はこう案内します。今日、2物件とも売ると決める必要はありません。まず同じ所有者の資料を集め、現金の収支と税務上の損益を分ける。税額と特例の個別判断は税理士に確認し、その結果を売却条件の比較に使います。
よくある質問
売主とご家族が確認する事項を、三つの質問に分けて記します。
- 土地の売却損を給与から引けますか?
- 土地や建物の譲渡所得から引ききれない損失は、原則として給与所得や事業所得とは通算できません。一定の要件を満たす居住用財産には別の特例がありますが、土地を赤字で売っただけで給与の税金が戻るわけではありません。売却した資産の種類、居住状況、所有期間などの資料をそろえ、適用は税理士に確認してください。
- 翌年に売る土地の利益と相殺できますか?
- 本記事の2物件の例は、同じ個人が同じ年に売却する場合の整理です。通常の土地の損失を、翌年の利益へ自動的に持ち越す説明ではありません。一定の居住用財産には繰越控除の特例がありますが、個別の要件確認が必要です。契約日と引渡日を示す書類をそろえ、売却年と申告の扱いを税理士に確認してください。
- 買った価格より安く売れば税務上も赤字ですか?
- 買値と売値だけでは判定できません。譲渡所得は売却金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。建物の取得費では、所有期間中の減価償却費相当額を差し引く確認も必要です。借入金返済後の現金が少ないことと、税務上の損失は別です。購入資料、売買契約書、費用の領収書を基に税理士に確認してください。
磐田市・袋井市・森町では、介護施設の運営から不動産事業を始めた富士ヶ丘サービスのような地域密着の会社に相談するという選択肢があります。
売ると決める前の資料整理から
実家カルテで名義・道路・境界を整理し、実家じまい相談室で次の段取りを確認できます。相続の資料は相続はじめ相談室もご利用ください。
富士ヶ丘サービス株式会社|0538-31-3308
参考にした公式情報
出典は2026年10月確認(確認日:2026年10月18日)。公表日、法令の基準日、実施期間は区別して記載しています。
本記事は2026年10月18日に確認した一般的な情報です。制度・数値・手続は変わる場合があります。重要事項・税務・登記・相続・契約の個別判断は、税理士・司法書士・弁護士・宅地建物取引士など各分野の専門家に確認を。個別の対象や申請条件は担当窓口で確認してください。
