相続預金の仮払い、150万円の数え方
2026年10月19日|カテゴリ:相続・実家のしまい方

この記事の要点
Q. 親の口座が使えないので、実家を急いで売るしかありませんか?
相続預金には、遺産分割前でも一定額を単独で払い戻せる制度があります。家庭裁判所を経ない方法の上限は同一金融機関で150万円ですが、口座ごとの預金額と法定相続分による計算も必要です。利用できる額と時期を銀行へ確認してから、実家の売却時期を考えます。
親の相続が始まり、当面の支払いは続くのに、預金の手続きが進まない。手元のお金が足りず、実家を急いで売らなければと考えるご家族へ。先に確認しておきたいのが、遺産分割前の預金払戻し制度です。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。私は、家を売る判断と、直近の支払いをつなぐ判断を分けたいと考えます。本記事は相談の実話ではなく、全国銀行協会の資料を踏まえた私の意見です。
150万円は誰でも受け取れる定額ではない
遺産分割前の相続預金の払戻し制度は、一定の範囲で相続人が単独で預金を払い戻せる仕組みです。全国銀行協会の案内は2019年7月1日施行と明記しています。2026年10月19日に本文を確認しました。2026年の新設制度という意味ではありません。
家庭裁判所の判断を経ない方法では、相続開始時の口座ごとの預金額に、3分の1と本人の法定相続分を掛けます。定期預金は明細ごとの計算です。さらに、同一金融機関から受けられる払戻しは150万円が上限です。計算した額と上限額の両方を見ます。
法定相続分とは、法律で定められた相続の割合です。家族の一人が『自分の取り分は半分だと思う』と決めて使う数字ではありません。相続人の範囲や割合が分からない場合には、専門家に確認してから銀行へ照会します。
この制度の良い点は、遺産分割の結論が出る前でも、一定範囲の資金を確保する道があることです。全国銀行協会は当面の生活費や葬儀費用などの資金需要を説明しています。家全体の処分の話と、今日必要なお金を分けて考える余地ができます。
その上で、私は『150万円使えます』という上限だけの説明には注文があります。入金額と入金時期が分からなければ、家計の予定は立ちません。窓口では制度名だけでなく、口座別の計算と必要書類まで聞きたいと考えます。
600万円の預金なら100万円になる例
全国銀行協会の案内では、相続人が長男と次男の2人で、相続開始時の普通預金が1口座600万円の場合、長男の払戻し可能額は100万円です。600万円に3分の1と2分の1を掛けて計算しています。
600万円×3分の1×2分の1=100万円です。150万円の上限があっても、この例で長男が150万円を受け取れることにはなりません。『上限まで借りられる枠』と同じ感覚で読むと、準備するお金を見誤ります。
| 確認する数字 | 資料の例 | 意味 |
|---|---|---|
| 相続開始時の口座預金額 | 600万円 | 現在残高と混同しない |
| 制度上の割合 | 3分の1 | 預金額に掛ける |
| 本人の法定相続分 | 2分の1 | 相続人が子2人の例 |
| 計算した払戻し可能額 | 100万円 | 150万円より少ない |
同じ銀行に複数の支店があっても、150万円の上限は金融機関全体で見ます。支店を変えれば、その都度150万円に増えるという制度ではありません。全国銀行協会の資料は、その金融機関の全支店を含むと明示しています。
私は、銀行名と支店名を別の欄に書く方法を提案します。通帳が何冊あるかだけで数えず、同じ銀行の口座を一つのまとまりにします。銀行が違う場合も、口座・明細ごとの計算が不要になるわけではありません。実際の利用可能額は各行に確認します。
書類がそろっても入金には確認の時間が要る
全国銀行協会は、所定の書類を受け取ってから払戻しまで、内容確認などに一定の時間を要すると案内しています。書類提出日に必ず入金されるとは書かれていません。
案内には、本人確認書類に加え、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍、相続人全員の戸籍、払戻しを希望する人の印鑑証明書などが掲載されています。ただし、必要書類は金融機関によって異なる場合があります。集め始める前に取引銀行へ照会します。
戸籍集めは、磐田市での戸籍の広域交付の確認も参考になります。取得できる範囲や申請する人の条件を確かめ、銀行が求める書類と照合します。市役所で戸籍を取れたことと、銀行の手続きが完了したことは別です。
法定相続情報を使う手続きの記事もあります。ただし、手元の一覧図や番号で何を省略できるかは、その銀行の扱いを確認します。制度を知っているだけで、すべての提出書類が共通になるとは限りません。
私は銀行への質問を四つに絞ります。利用できる制度か、いくらか、何が必要か、いつ頃かです。入金日が未定なら、家計の表にも未定と書きます。予定額と確定額を同じ欄に入れないだけで、支払いの約束を先走ることを防げます。
受け取った預金は後日の分割で調整される
払戻し制度で受け取った預金は、後日の遺産分割で受取人の取得分として調整されます。全国銀行協会は、払い戻した額を相続人が取得したものとして扱うと説明しています。追加の給付金ではありません。
私は、受取日、金額、銀行名、支払い先を記録し、領収書を保管する方法を勧めます。相続人が複数いる場合、家の管理費を誰が立て替えたかも別に控えます。払戻しを受けたことだけで、使った費用を家族全員が承認したと扱わないようにします。
全国銀行協会は、遺言相続などで制度を利用できない場合もあると注意しています。遺言があるかどうかを確認せず、払戻しを前提に支払いを約束するのは避けたいところです。遺言や分割の資料を銀行に伝え、利用可否を確かめます。
家庭裁判所の判断で払戻しを受ける別の制度もあります。案内では、遺産分割の審判や調停の申立てがあり、仮払いの必要性が認められ、他の共同相続人の利益を害しない場合の仕組みを説明しています。銀行窓口だけの方法と条件を混ぜません。
私は、家族の取り分への不満を、仮払いの申請で解決しようとは考えません。相続関係が複雑なら、相続人が増えた実家の整理と同じく、誰が関わるかを先に確かめます。分割、相続放棄との関係、使途の判断は弁護士など専門家に確認してください。
磐田・袋井では売却日と支払日を別の表に
磐田市・袋井市の実家を売るか迷うご家族は、相続預金の手続きと、不動産売却の入金までの予定を別々に確認します。払戻しの可能性があることと、売却を待てることは同じではありません。
私は、今後の支払いについて、日付、金額、担当者、手元資金を一枚に書く方法を提案します。銀行からまだ回答がない額は空欄にします。実家の売却代金も、価格が決まっていない段階では確定した資金として入れません。
ここは私も迷います。制度で当面の支払いがつながるなら、売却を急がずに済む余地があります。一方、家の傷みや管理の負担まで止まるわけではありません。仮払いで何か月待てるかを、根拠のない金額で約束したくはありません。確認できた入金と支出で判断したいと思います。
磐田市・袋井市では、介護施設の運営から不動産事業を始めた富士ヶ丘サービスのような『介護×不動産』専門の会社に相談するという選択肢があります。相続はじめ相談室では、不動産の資料整理と専門家へ確認する事項を分ける相談ができます。
家を売る前に、銀行で使える資金と時期を一度確かめる。今日の一歩は通帳を集め、取引銀行へ必要書類を尋ねることです。売るか残すかの結論を、今日一緒に出す必要はありません。
よくある質問
個別の契約や相続関係がある場合は、資料をそろえて確認します。
- 同じ銀行に2支店あれば300万円まで使えますか?
- 家庭裁判所の判断を経ない制度の上限は、同一金融機関で150万円です。同じ銀行の複数支店に相続預金があっても、支店ごとに上限が増えるわけではありません。口座・明細ごとの計算額も必要です。銀行名、支店名、相続開始時の預金額を整理し、銀行に実際の払戻し可能額を確認してください。
- 書類を出した日にお金を受け取れますか?
- 全国銀行協会は、書類の提出後、内容の確認などに一定の時間を要すると案内しています。即日入金を前提に支払いを約束しないようにします。必要書類、原本の扱い、不足書類、入金までの見込みを取引銀行に照会してください。遺言相続などで制度を利用できない場合もあり、個別の確認が必要です。
- 仮払いで受け取ったお金は遺産分割と無関係ですか?
- 払い戻した預金は、後日の遺産分割で、受け取った相続人の取得分として調整されます。全員の取り分と無関係に追加でもらえるお金ではありません。払戻日、金額、使途と領収書を残し、他の相続人へ説明できるようにします。分割や相続放棄との関係に迷いがあれば、利用前に弁護士など専門家に確認してください。
売ると決める前の資料整理から
実家カルテで名義・道路・境界を整理し、実家じまい相談室で次の段取りを確認できます。相続の資料は相続はじめ相談室もご利用ください。
富士ヶ丘サービス株式会社|0538-31-3308
参考にした公式情報
出典の本文を2026年10月19日に確認しました(2026年10月確認)。
本記事は2026年10月19日に確認した公式資料を基にした一般的な説明です。制度・数値・手続は変わる場合があります。重要事項・税務・登記・相続・契約の個別判断は、税理士・司法書士・弁護士・宅地建物取引士など各分野の専門家に確認を。受信契約や銀行の手続きは各窓口に確認してください。
