3000万円控除と住宅ローン控除の選び方
公開:2026年11月2日

この記事の要点
Q. 家を売って買い替えるなら、3000万円控除と住宅ローン控除はどちらがお得?
売却で減る税額と、住宅ローン控除で実際に減る税額を比較します。3000万円は戻る税額ではなく、譲渡所得から差し引く上限です。入居年と前2年・後3年に関わる併用制限もあります。売却益、入居年、借入条件を揃え、税理士等へ個別試算を依頼します。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。自宅を売って次の家を買うとき、「3000万円」という数字だけを見れば、大きい控除を選びたくなります。けれど、税金の比較で先に揃えるのは数字の単位です。所得から引く額と、税額から引く額を同列には置けません。
本記事は、本人が住んでいた自宅の売却と、次の自宅購入を想定します。相続した空き家の特例を同じ条件で説明するものではありません。2026年11月2日に確認した国税庁の案内をもとに、専門家へ比較を依頼する前の資料整理を考えます。
3000万円は、返ってくる税金の金額ではない
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」は、要件を満たす自宅の売却で、譲渡所得から最高3000万円を控除する仕組みです。国税庁のNo.3302は、所有期間の長短に関係なく適用できる特例と説明しています。
譲渡所得は、不動産を売った代金そのものではありません。購入時の費用や売却費用などを踏まえて計算する所得です。売却代金が3000万円なら3000万円が返る、という制度ではありません。控除が税金にどう効くかは、まず譲渡所得を計算してから確かめます。
比較の仕方を示す仮例として、控除前の譲渡所得が600万円なら、差し引く対象はその600万円です。適用要件を満たし、他の調整がない前提なら、その範囲で所得を減らします。残り2400万円を現金でもらうという計算にはなりません。
一方の「住宅借入金等特別控除」は、住宅ローン等の年末残高を基に控除額を計算する仕組みです。対象住宅、入居時期、所得などの要件があり、計算上の上限を毎年そのまま受け取れるとは限りません。自分に適用できる条件と税額の確認が必要です。
| 比較項目 | 先に確認する数字 |
|---|---|
| 3000万円特別控除 | 売却の譲渡所得と、適用前後の税額 |
| 住宅ローン控除 | 対象借入れ、住宅条件、各年に実際に減る税額 |
| 家計への効果 | いつ、いくらの負担が減るか |
私は、二つの制度が住み替えの負担を軽くする点を良いと考えます。その上で、広告の最大額だけで有利と決める説明には注文があります。実際に減る税額へ換算して初めて、家族の資金計画に使える数字になります。
併用制限は、売買を同じ年にした場合だけではない
国税庁「マイホームを持ったとき」の留意事項は、入居年と、その前2年または後3年以内に一定の譲渡特例を使う場合、住宅ローン控除を受けられないと案内しています。売却年と購入年を一年ずらせば解決する、と判断できる仕組みではありません。
No.3302では、入居年、その前年、前々年に自宅売却の特例を使った場合の制限を説明しています。さらに入居翌年から3年目までに、住宅ローン控除の対象資産以外の資産を売って同特例を使う場合も示しています。売る家と買う家を分けて確認します。
2026年入居なら、前2年は2024年・2025年、後3年は2027年から2029年です。これは確認する年を並べたもので、その期間の売買すべてが一律に使えなくなるという意味ではありません。どの資産に、どの特例を適用するかが判断の材料です。
年表には、契約日、引渡し予定日、住まなくなった日、次の家の入居日を書きます。税務上どの年の譲渡になるかを、家族の都合だけで決めません。後から売却特例を使う場合の申告対応も含め、税理士か税務署へ事前に確認します。
住み替えの順番自体で迷う場合は、売り先行と買い先行を比べる記事も参考になります。先に売るか買うかという資金繰りの判断と、控除の適用判断は分けてから組み合わせます。
比較表には、確定額と見込み額を分けて書く
控除の比較では、売却特例を使う場合と使わない場合の両方を同じ前提で試算します。私は、売却側の税負担と購入側の控除見込みを、二つの案として並べるよう提案します。片方だけ最大額、もう片方だけ保守的な数字では比べられません。
売却側で揃えるのは、売買の予定額、取得時の契約書、取得に関する資料、売却費用の見積りです。購入側では、購入予定物件の資料、住宅性能等の証明、借入予定額、返済計画、入居予定を揃えます。家族の収入見通しも専門家へ伝えます。
取得時の資料が見つからないときは、空欄をゼロ円で埋めません。税理士へ確認する項目として残します。取得費の資料と売却税を考える記事を手掛かりに、当時の契約書や支払いの記録を探してください。
住宅ローンの年末残高は、返済に伴って変わります。将来の所得や途中の返済方針も、比較の前提として書いておきます。借入額に率を掛けた初年度の数字を、そのまま年数倍して「必ず戻る総額」と呼ばないのが私の考えです。
私は、専門家に試算を頼む際、「どちらが得ですか」だけで終わらせません。各案の税額、控除の見込み、必要な申告、判断が変わる条件を確認します。買う物件や借入額が変わったら、前の試算も更新が必要か聞きます。
磐田・袋井の住み替えは、購入物件の条件も同時に照合
磐田・袋井で中古住宅へ住み替える場合も、所在地だけで住宅ローン控除の可否は決まりません。国税庁は住宅の種類などに応じた要件を示しています。売る家の税金だけを調べて、買う家は控除が使える前提にしないことです。
物件資料の築年、床面積、証明書の有無などを、購入を担当する不動産会社と確認します。中古住宅の築年と住宅ローン控除の確認も、購入候補を絞る段階の材料になります。最終的な適用は専門家へ確認します。
国税庁の案内では、住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要です。自宅売却の3000万円特別控除も、一定の書類を添えて確定申告する手続きです。税額が減る見込みであっても、申告の手間と書類の準備を省いた計画にはしません。
仲介の仕事では、売却額、引渡し時期、費用見積りを具体化できます。ただし、税務の個別判断を不動産会社の査定回答で代用することはできません。契約へ進む前に、比較に必要な資料を担当者と税理士の間で揃えるのが私の勧めです。
比較結果を受け取ったら、私は前提の日付を表の上へ書くことを勧めます。「この家にこの年に入居する」という条件が変われば、税額の比較も変わり得ます。家族が保存するのは有利だった案の金額だけでなく、使った資料、確認日、専門家に残した質問までです。申告時に予定と実際の違いを見つけやすくなります。
家計では、控除の総額と資金が必要になる時期も分けます。将来の負担軽減を、購入決済日に使える現金として数えません。仲介担当者には入出金の日程を、税理士には税の見込みを確認し、その二つを最後につなぎます。
私は、控除の大きさより使える手取りを比べる
私はこう考えます。家族で資料を並べるときは、売却価格の下に費用と税金を書く欄を作ります。次の家の購入費とローン控除は別紙に置き、いつ資金が必要かを線でつなぎます。税額が未確定の部分は色を変え、確認済みの現金と混ぜません。これは実例の紹介ではなく、数字を家計へ戻すための私の整理案です。
将来の控除をどこまで資金計画へ入れるかは、私も迷います。収入や住まい方が変わる可能性があるためです。だから、上限まで使える案だけでなく、前提が変わった場合も専門家に確認します。税のためだけに、無理な借入れや売却の先延ばしを勧めません。
今日できる確認は、自宅を売る予定年と、次の家に入居する予定年を書くことです。富士ヶ丘サービスでは、磐田・袋井で介護と不動産の事情を合わせ、家族が困らない売却と住み替えの段取りを考えます。個別の税額・申告・登記・相続の判断は専門家に確認を。
よくある質問
3000万円控除と住宅ローン控除の選び方について、確認したい疑問を整理しました。
3000万円控除を使うと、3000万円の税金が戻りますか?
3000万円は戻る税額ではなく、条件を満たす自宅売却の譲渡所得から差し引く上限です。売却代金からそのまま引くものでもありません。先に取得費や譲渡費用などを整理し、控除前後の税額を試算します。住宅ローン控除との比較も、制度名の金額同士ではなく、実際に減る税額を専門家へ確認して行います。
売却と入居の年をずらせば、両方使えますか?
一年ずらすだけで両方使えるとは限りません。国税庁は、入居年、その前2年や後3年に一定の売却特例を使う場合の制限を案内しています。売った資産と購入した資産、各年の適用内容を確認します。契約日や入居予定日を年表にし、税理士または税務署へ条件を示してから、申告の方法も含めて確認してください。
どちらを選ぶか、不動産会社の査定だけで決められますか?
査定だけでは決められません。売却価格に加え、取得費、売却費用、購入する住宅の条件、借入予定、所得などが比較に必要です。不動産会社には物件資料と費用の整理を頼み、税額や適用の判断は税理士等へ確認します。試算後に購入物件や入居時期が変わった場合も、同じ結論を流用せず確認し直します。
売ると決める前の資料整理から
実家カルテ・実家じまい相談室・相続はじめ相談室で、今後の段取りを整理できます。
相談・調査・査定の申込みには、物件所在地を番地・地番までご記入ください。不明な場合は固定資産税の課税明細書や登記書類で確認してください。
富士ヶ丘サービス株式会社|0538-31-3308
参考にした公式情報
2026年11月2日確認(2026年11月確認)。資料の更新日と確認日は区別しています。
本記事は一般的な情報と筆者の意見です。制度・数値・運用は変わる場合があります。個別の契約、重要事項、税務・登記・相続の判断は、担当窓口と各分野の専門家に確認を。
