実家の屋根・外壁を素人が見るポイント|写真の撮り方
実家に誰も住まなくなってから数年が経つと、屋根や外壁がどれくらい傷んでいるのか、家族の誰も正確には把握していない、という状態になりがちです。売るにしても、直すにしても、まず要るのは、専門家に連絡する前に自分の目で見て、写真として残しておくことです。このページは、屋根に上らず地上から確認できる範囲で、屋根・外壁とシーリング・基礎と床下換気口・雨樋と排水という四つの部位を順番に見る方法と、撮った写真を相談にどう使うかまでを整理します。素人の目でできるのは、あくまで一次的な見当づけです。傷みの程度や修繕の要否を最終的に判断するのは、建築士や既存住宅状況調査技術者といった専門家であり、このページはその専門家へ何をどんな形で渡せば話が早く進むかまでを扱います。

まず結論
屋根に上らず地上から見る点検法を、屋根・外壁とシーリング・基礎と床下換気口・雨樋と排水の四部位に分けて整理します。屋根材ごとの傷みやすい場所、シーリングやひび割れの見分け方、換気口のふさがりと蟻道、雨樋のあふれ跡まで、写真で記録する視点を具体的に示します。最後に、撮った写真をどう整理し、既存住宅状況調査技術者や工務店といった相談先にどうつなげるかまでを扱います。
屋根で見るサイン
屋根の傷みは、地上から見える範囲だけでもかなりの見当がつきます。無理に上ろうとせず、双眼鏡と写真で、四方から順番に見ていきます。
屋根に上ることについて、先に釘を刺しておきます。濡れた瓦やスレートは滑りやすく、素人が屋根の上を歩いて点検すること自体が、点検以前に転落事故の危険を伴います。屋根の状態を見るのは、地上に立ったまま、あるいは二階の窓からで十分です。まず必要なのは屋根に上る勇気ではなく、双眼鏡か望遠側のカメラ、そして逆光になりにくい晴れた日の午前中という条件です。
見る場所は敷地の四方です。道路側から見える面、隣地との境界に近い面、庭側の面、そして可能であれば裏の路地や、隣家の許可を得たうえで見せてもらう面。同じ屋根でも、方角によって傷み方は違います。南面や西面は日射と雨が強く当たり、塗装の劣化や色あせが先に進みます。北面や日陰になる面は乾きにくく、苔や藻が付きやすい傾向があります。四方から見比べることで、傷みが屋根全体に及んでいるのか、一部の面に偏っているのかが見えてきます。
屋根材によって、先に傷む場所が違います。瓦屋根では、瓦のずれ、割れ、ずり落ち、漆喰の剥落を見ます。棟(屋根の頂上の部分)がある場合は、棟瓦の歪みや、棟を固定する漆喰の欠落がないかを見てください。スレート屋根(薄い板状の屋根材)では、ひび割れ、反り、色あせと、表面の塗膜が剥がれて素地が見えている箇所を探します。金属屋根では、棟板金(屋根の頂上を覆う金属部材)の浮きや留め具の緩み、錆の広がりを見ます。トタン屋根では、錆による穴あき、継ぎ目のずれが典型的なサインです。
谷樋(たにどい・屋根の面と面が交わる谷になった部分に取り付ける雨どい)にも注目してください。谷樋は雨水が集中して流れる場所なので、他の部分より傷みが早く進みます。錆による穴あき、ゴミが詰まって水があふれた跡、コケの付着を見ます。谷樋からの雨漏りは、天井裏では谷樋の直下ではなく少し離れた場所に染みとして現れることがあるため、室内側の雨染みと屋根の谷樋の位置を照らし合わせておくと、後で専門家に説明しやすくなります。
軒先(のきさき・屋根の端の部分)も地上から見やすい場所です。軒先の板金や破風板(はふいた・屋根の妻側の端に取り付ける板)に、反り、塗装の剥がれ、黒ずんだ雨染みがないかを見ます。軒先に沿って黒い筋状の汚れが垂れている場合、屋根の水はけがどこかで悪くなっている可能性があります。天窓や煙突、屋根に取り付けられたアンテナの支柱がある家では、その取り合い部分(異なる部材が接する境目)のシーリングやフラッシング(雨仕舞いのための板金)が切れていないかも、双眼鏡で確認してください。
苔や藻、黒ずみの見え方にも意味があります。表面にうっすら苔が生えている程度であれば、屋根材そのものの劣化というより、日当たりと湿気の条件による表面的な現象であることが多いとされます。一方で、苔の下から瓦やスレートの割れが見つかることもあるので、苔があるからよい・悪いと単純に判断せず、範囲と、その下に別のサインがないかまで写真で記録しておきます。
雨の日、あるいは雨上がりに見ることにも価値があります。晴れた日には気づかない雨だれの跡や、谷樋から水があふれている様子は、雨が降っているときにしか見えません。安全に見られる範囲、つまり窓を閉めたまま室内から見える軒先や谷樋の様子を、雨天時に一度確認しておくと、乾いた状態だけでは分からない情報が加わります。
ドローンを使った屋根の撮影を考える方もいますが、飛行させる場所や高さによっては届出や許可が必要になる場合があり、操縦にも経験が要ります。無理に自分で飛ばそうとせず、必要であれば専門の業者に依頼する、あるいは既存住宅状況調査を行う技術者に現地で確認してもらう方が、安全で確実です。地上からの点検は、その専門家に「どこを重点的に見てほしいか」を伝えるための材料作りだと考えてください。
隣家の敷地や二階の窓から見せてもらう必要がある場合は、必ず一声かけてから行ってください。無断で敷地に踏み込んだり、無言でカメラを向けたりすると、実家の管理とは別のトラブルの種になります。空き家が続いている地域では、近隣との関係を保つことも、屋根や外壁の点検と同じくらい大切な備えです。挨拶のついでに、最近の家の様子について気づいたことを尋ねてみるのも一つの方法です。
- 双眼鏡または望遠側のカメラを用意し、晴れた午前中に見る
- 敷地の四方(道路側・隣地側・庭側・裏側)から見比べる
- 屋根材ごとに傷みやすい場所(瓦のずれ、スレートのひび、棟板金の浮き)を確認する
- 谷樋の錆・詰まり・コケの有無を見る
- 軒先・破風板の雨染みや黒い筋を確認する
- 天窓・煙突・アンテナ支柱まわりのシーリング切れを見る
- 可能なら雨天時にも軒先と谷樋の様子を室内から確認する
図1屋根に上らず、地上から見るための手順
外壁とシーリングの劣化
外壁は面積が広く、部位ごとに劣化の出方が違います。ひび割れとシーリングの状態を中心に、素材別の見るポイントを押さえます。
外壁の劣化で最初に目につくのは、色あせとチョーキング(白亜化)です。塗装の表面が紫外線や雨で劣化すると、艶がなくなり、手のひらで壁を軽くこすると白い粉が付着することがあります。これは塗膜の防水性能が落ちているサインとして広く知られており、直ちに壁自体が壊れるわけではありませんが、塗り替えの目安になります。日当たりの強い南面・西面から先に出ることが多いので、面ごとに比べてみてください。
サイディング(板状の外壁材)を使った家では、板と板の継ぎ目に走るシーリング(コーキング)の状態を見ます。新しいシーリングはゴムのような弾力がありますが、劣化すると硬くなってひび割れる、あるいは壁材から剥がれて隙間ができます。指で軽く押してみて弾力が感じられず、押した跡がそのまま残るようであれば、劣化が進んでいるサインです。シーリングの隙間は、そこから雨水が壁の中に入り込む経路になるため、外壁の劣化の中でも優先して見るべき部分です。
モルタル壁(セメント系の塗り壁)では、ひび割れの見え方が重要になります。髪の毛のように細く、網目状に広がる細かいひびは、表面の仕上げ材にとどまることが多く、直ちに構造への影響を示すものではないとされます。一方で、幅が目立つひび、壁の一方向に長く連続するひび、上下でずれを伴うひびは扱いが変わります。気になるひびは、定規やコインを添えて幅が分かる形で撮影し、数か月おきに同じ場所を撮り比べて広がっていないかを見てください。
木部が使われている外壁では、腐食とシロアリの被害を見ます。雨どいの下や、地面に近い羽目板(はめいた)の下端は、湿気がたまりやすく腐食が進みやすい場所です。指で軽く押して弾力がなく、めり込むような感触があれば、内部が腐っている可能性があります。土台に近い外壁の足元に、土でできた細い筋(蟻道・ぎどう)が這っている場合は、シロアリの通り道である可能性があるため、次の章で扱う基礎まわりと合わせて確認してください。
白い粉状の跡が壁の表面ににじみ出ている場合、エフロレッセンス(白華現象)と呼ばれる現象かもしれません。コンクリートやモルタルの成分が水に溶けて表面に染み出し、乾いて白く固まったもので、壁の内部を水が通っている証拠になります。少量であれば見た目の問題にとどまることもありますが、範囲が広い、あるいは繰り返し現れる場合は、壁の内部への浸水経路を確認したほうがよいサインです。
開口部(窓・玄関・換気フードなど)まわりのシーリングも、面ではなく点で見ておきたい場所です。窓枠と外壁の取り合い部分は、構造上どうしても継ぎ目ができるため、そこを埋めるシーリングが劣化すると雨水の侵入経路になりやすい部分です。窓の下の壁に、縦に伸びる雨染みや黒ずみがある場合、その窓まわりのシーリングを疑ってください。
傷みの範囲を記録するときは、外壁を面ごとに分けて考えます。東西南北の四面、それぞれについて、色あせの程度、シーリングの状態、目立つひびの有無、木部や開口部まわりの状態を一覧にしておくと、あとで業者に見積もりを依頼するときの説明が具体的になります。「外壁が傷んでいる」という一言ではなく、「南面のシーリングが数か所で剥離している、西面の下部に蟻道らしきものがある」という書き方が、次の相談を早く進めます。
遠州地域特有の気象条件も、外壁の傷み方に影響します。夏から秋の台風では、飛来物による傷やひび割れが増え、冬の空っ風は壁面を乾燥させて塗膜のひび割れを進めやすくします。梅雨の長雨は、シーリングの隙間や小さなひびから雨水が入り込むきっかけになりやすい時期です。台風シーズンの後と梅雨明け後に外壁を見る習慣をつけておくと、劣化の進行に早く気づけます。
外壁の劣化は、放置しても数日で急変するものではありませんが、シーリングの隙間や大きなひびをそのままにしておくと、雨水が構造材や断熱材に達し、内部から腐食が進む場合があります。表面の見た目以上に、水が入り込む経路になっているかどうかが本質的な論点です。素人の目で「これは危ない」と断定する必要はありませんが、水の通り道になっていそうな箇所を見逃さず記録することが、この章の目的です。
| 見えるサイン | 考えられる状態 | 次にすること |
|---|---|---|
| 色あせ・チョーキング(白い粉) | 塗膜の防水性能の低下 | 塗り替えの時期を業者に相談する目安にする |
| シーリングの硬化・ひび・剥離 | 目地の防水性能の低下 | 雨水の侵入経路になりやすいため優先して撮影する |
| 幅の目立つひび・連続するひび | 表面にとどまらない可能性 | 定規を添えて撮影し、数か月後に再確認する |
| 木部のめり込み・蟻道らしき筋 | 腐食またはシロアリ被害の可能性 | 基礎まわりと合わせて専門家に確認する |
| 白い粉状の染み出し(エフロレッセンス) | 壁内部を水が通っている可能性 | 範囲と頻度を記録し、繰り返す場合は相談する |
| 窓まわりの縦の雨染み | 開口部シーリングの劣化 | 窓の下から室内側の壁も併せて確認する |
基礎と床下換気口
基礎と床下は、外壁以上に見落とされがちな場所です。地上から見える範囲でも、放置のリスクが大きいサインを見つけられます。
基礎コンクリートは、外壁の足元をぐるりと囲む部分なので、屋根や外壁と同じように四方から見て回ります。表面に細かいひびが網目状に入っている程度は、表面の仕上げにとどまることが多いとされますが、幅が目立つひび、斜めに一直線に走るひび、基礎の一部が欠けて鉄筋が見えているような箇所は、別に記録しておいてください。基礎の傾きは素人には判断しづらいので、水平器を使って明らかな傾きがないかを見る程度にとどめ、断定はしません。
床下換気口(基礎の立ち上がり部分にある、床下に空気を通すための小さな開口部)も、必ず確認してください。換気口が土や植木鉢、物置などでふさがれていないか、金属製の格子が錆びて欠けていないかを見ます。換気口がふさがれた状態が続くと、床下の湿気がこもりやすくなり、木部の腐食やシロアリの被害につながる条件が整いやすくなります。空き家の場合、庭木の枝や落ち葉が換気口の前に積もっていることが多いので、まずそこを取り除くだけでも状況が変わります。
床下点検口の場所も、この機会に家族で確認しておきます。多くの木造住宅では、和室の畳の下や、洗面所・台所の床下収納の中に、床下へ入るための点検口が設けられています。実家の場合、どこに点検口があるのか誰も知らない、という状態になっていることも珍しくありません。点検口の位置を写真に撮り、簡単な見取り図にメモしておくと、後で専門家に床下を見てもらう際に案内がスムーズになります。
床下そのものへ素人が入って点検することは勧めません。狭く、暗く、電気の配線や給排水管があり、シロアリの巣や害虫と遭遇する可能性もある場所です。点検口を開けて、懐中電灯で中を照らし、目に入る範囲だけを見る程度にとどめてください。カビ臭い、湿った臭いがする、床下に水がたまっているように見える、といった気づきがあれば、それだけでも専門家に伝える価値のある情報です。
束石(つかいし・床を支える木の柱の下に置かれた石やコンクリートの台)のずれも、見える範囲で確認します。束石と柱の間に隙間ができている、柱が傾いているように見える場合、床の沈みや傾きにつながっている可能性があります。室内側でビー玉を床に置いて転がるかどうかを見る、といった簡易な方法も知られていますが、これも最終的な判断材料ではなく、専門家に伝えるための一つの気づきとして扱ってください。
蟻道(ぎどう・シロアリが移動のために作る土でできた細い筋)は、基礎の外側、換気口の周り、配管が基礎を貫通している部分の近くにできやすいとされます。灰色から茶色の、鉛筆程度の太さの筋が基礎の表面を這っていたら、シロアリの被害を疑う手掛かりになります。見つけた場合、その場で壊さずに写真を撮り、専門の業者に見てもらってください。空き家で長期間人の出入りがない家屋は、蟻道に気づかれないまま放置されやすい環境でもあります。
基礎まわりの土の状態にも目を向けます。基礎の周りの地面が、建物側に向かって傾いている(水が家に向かって流れる形になっている)場合、雨水が基礎に集中しやすくなります。逆に、外側に向かって傾いていれば水は離れていきます。植木鉢や物置を基礎に密着させて置いている場合、そこだけ湿気がこもりやすくなるため、点検のときだけでも一時的にどけて、基礎の状態を見ておくとよいでしょう。
基礎と床下は、屋根や外壁に比べて「何かが起きてから気づく」までの時間が長い部位です。だからこそ、換気口がふさがっていないか、蟻道がないか、目立つひびがないかという、比較的短時間で確認できる項目を年に一度は見ておく価値があります。判定は専門家に委ねるとしても、素人が変化に気づく頻度を上げておくことが、被害を大きくしないための実質的な備えになります。
点検の時期にも触れておきます。梅雨や台風の直後は、床下換気口の周りに泥や落ち葉が集まりやすく、逆に汚れの跡から普段の水の流れが見つけやすい時期でもあります。冬場は空き家の庭木の手入れが行き届きにくくなり、換気口のふさがりに気づかないまま春を迎えることも珍しくありません。年に一度、季節を決めて点検日を家族の間で共有しておくと、確認漏れが減ります。
- 基礎の四方を見て回り、幅の目立つひびや欠けがないかを確認する
- 床下換気口がふさがれていないか、格子が破損していないかを見る
- 床下点検口の場所を家族で確認し、写真と見取り図に残す
- 点検口から懐中電灯で照らし、カビ臭や湿り、水たまりの有無を見る
- 基礎表面や換気口まわりに蟻道(土の筋)がないかを探す
- 基礎まわりの地面の傾きと、物置・植木鉢の密着がないかを見る
図2基礎・床下のサインを、誰につなぐか
雨樋と排水
雨樋は、屋根から地面まで水を導く経路です。詰まりや外れは見つけやすく、そのまま放置すると外壁や基礎の傷みを早めます。
雨樋(あまどい)は、軒先に沿って水平に取り付けられた軒樋(のきどい)と、そこから地面まで水を落とす竪樋(たてどい)に分かれます。まず見るのは、軒樋がたわんでいないかです。本来まっすぐ、あるいはわずかな勾配で取り付けられているはずの軒樋が、途中で波打つように垂れ下がっている場合、金具が緩んでいるか、内部にゴミや泥が溜まって重みで下がっている可能性があります。
詰まりのサインは、晴れた日でも見つけられます。軒樋の中に落ち葉や松葉、土埃が堆積して盛り上がっているのが外から見える場合、雨が降ればそこで水があふれます。軒樋の外側に沿って、縦に黒く筋状の汚れが伸びている壁があれば、それは雨樋からあふれた水が繰り返し同じ場所を伝った跡である可能性が高く、外壁の劣化にもつながる重要なサインです。
竪樋については、外壁からの浮きや外れ、継ぎ目のずれを見ます。竪樋が壁から離れて宙に浮いている、下部が破損して地面近くで水が飛び散っている、といった状態は、遠目からでも見つけやすい部類です。竪樋の下端が、雨水桝(あまみずます・雨水を集めて排水管に流すための小さな升)にきちんとつながっているかも確認してください。竪樋の下が外れて、そのまま地面に水を流している家は珍しくありません。
雨水桝や排水管の詰まりも、雨樋と合わせて見ておきたい部分です。桝の蓋を開けて中を覗き、泥や落ち葉が溜まっていないか、水が流れずに溜まったままになっていないかを見ます。空き家では、庭木の落ち葉や砂が長期間かけて桝の中に堆積し、大雨のときだけ機能しないという状態になっていることがあります。無理に自分で掃除しようとせず、詰まりに気づいたら記録し、専門の業者に相談してください。
敷地全体の勾配にも目を向けます。建物の周りの地面が、建物に向かって低くなっている場合、雨水が家の方向に集まりやすくなります。逆に建物から離れる方向へ緩やかに下がっていれば、水は自然に離れていきます。長年住んでいない家では、庭の土が沈んだり盛り上がったりして、当初の勾配が変わっていることもあるため、大雨の翌日に水たまりができている場所がないかを確認すると、勾配の変化に気づきやすくなります。
遠州地域の気候は、雨樋の点検頻度にも関わります。秋から冬にかけて落ち葉や松葉が多く、台風の後には枝葉が大量に飛び込みます。梅雨の時期はまとまった雨が続くため、詰まりがあれば短期間で外壁や基礎への影響として表れやすくなります。台風シーズンの前後と、落葉が落ち着く初冬の年二回程度、雨樋の状態を確認する習慣があると、詰まりに早く気づけます。
雨樋の劣化を放置した場合の影響も具体的に見ておきます。あふれた水が外壁を伝い続けると、シーリングの劣化を早め、木部があれば腐食につながります。竪樋の下が外れて同じ場所に水を流し続けると、基礎の際の土が洗われて空洞ができたり、床下への浸水経路になったりすることもあります。雨樋そのものは小さな部材ですが、その先に外壁・基礎という、より修繕の手間がかかる部位への影響が連なっている点を意識してください。
雨樋の交換や補修を検討する際は、部分的な交換で足りるのか、建物全体で樋を架け替える必要があるのかによって、工事の規模も費用感も大きく変わります。まずは詰まりを取り除くだけで改善するのか、金具の緩みを締め直せば済むのか、それとも樋自体が劣化して交換が必要なのかを、写真をもとに業者に見てもらうところから始めてください。ここでも、素人が「交換が必要」と決めつける必要はなく、状態を記録して見てもらうことが役割です。
誰に頼めばよいか迷う場合は、内容によって相談先を分けて考えます。落ち葉の除去や金具の締め直し程度であれば、地域の建物管理を請け負う業者に軽作業として相談できることがあります。一方、樋の交換や高所作業車を要する規模の工事は、屋根や外壁を扱う専門業者に依頼する話になります。まずは目視で分かる範囲の状態を伝え、どちらの相談が適切かを先に判断してもらうと、無駄な現地調査を減らせます。
| 見る場所 | 見るポイント | 放置した場合の影響 |
|---|---|---|
| 軒樋(のきどい) | たわみ・詰まり・盛り上がったゴミ | 水があふれ、外壁に伝って劣化を早める |
| 竪樋(たてどい) | 壁からの浮き・外れ・継ぎ目のずれ | 地面に直接水が落ち、基礎際の土が洗われる |
| 雨水桝 | 泥・落ち葉の堆積、水はけの悪さ | 大雨時に排水しきれず、周囲に水が広がる |
| 敷地の勾配 | 建物に向かって低くなっていないか | 雨水が基礎に集中し、床下浸水につながりうる |
| 外壁の縦の黒筋 | 雨樋からのあふれ跡かどうか | シーリングの劣化や木部の腐食につながる |
写真の撮り方と相談への使い方
ここまでの点検を意味あるものにするのは、写真の撮り方と、それを誰に見せるかです。撮り方を決め、相談先を選ぶところまでを一続きの作業として扱います。
撮影の基本は、同じ場所を同じ角度から撮ることです。気になる箇所を見つけたら、まず全体が分かる一枚、次に対象を大きく写した一枚、最後に定規やコインを添えて大きさが分かる一枚という、三枚一組で撮る習慣をつけてください。この三枚があれば、離れて暮らす家族や業者に電話やメールで状況を伝えるときにも、言葉だけでは伝わらない情報が正確に届きます。
撮影する場所には、あらかじめ目印を決めておくと、後で比べやすくなります。敷地の四隅にある目立つ物(電柱、隣家のブロック塀の角など)を基準にして、そこから何歩の位置で撮ったかを控えておくと、季節を変えて撮った写真でも同じ場所だと分かります。スマートフォンの写真には撮影日時が自動で記録されるため、日付を紙に書いて写し込む必要は必ずしもありませんが、家族で共有する際には撮影日をファイル名に入れておくと管理しやすくなります。
写真は部位ごと、方角ごとにフォルダを分けて整理します。屋根・外壁・基礎と床下・雨樋という四つの部位に加えて、東西南北の面ごとに分けておくと、後から「この面はまだ見ていない」という抜け漏れに気づきやすくなります。遠方に住む兄弟がいる場合は、共有フォルダやメッセージアプリのアルバム機能を使い、誰か一人だけが写真を抱え込む状態を避けてください。
撮った写真をどこまで自分たちで解釈するかについても、線を引いておく必要があります。このページで扱った内容は、あくまで素人の目で見当をつけるための一次的なチェックです。ひびの幅や蟻道らしき筋を見つけたとしても、それが直ちに危険であるとも、放置してよいとも、家族だけで結論を出さないでください。写真と気づいた点を並べたメモを作り、その先の判断は専門家に委ねる、という役割分担を最初から決めておくと、話が早く進みます。
専門家への相談先には、いくつかの窓口があります。ひとつは、国土交通省が定める講習制度に基づく「既存住宅状況調査技術者」です。この資格を持つ建築士は、国が定めた既存住宅状況調査方法基準に沿って、木造住宅などの劣化事象や、雨漏り・構造上の不具合につながりうる箇所を調査します。報酬を得て調査を行う場合は建築士事務所としての登録が必要とされており、依頼する際は建築士事務所を通じて申し込む形になります。
この調査結果は、売却を考えている場合に特に役立ちます。宅地建物取引の場面では、平成三十年四月以降、既存住宅状況調査の実施の有無とその結果が、重要事項説明の対象に含まれる取扱いになっています。また、既存住宅売買瑕疵保険に加入する際、調査の結果が良好であれば、保険加入のための現場検査が省略できる場合があるとされています。売却の予定があるなら、早めにこの調査を依頼しておくことで、買主への説明や保険加入の手続きがスムーズになる可能性があります。
一方、まだ売る予定がなく、住み続けるか空き家のまま管理するかを検討している段階では、既存住宅状況調査のような専門的な調査をすぐに依頼するより、まずは工務店やリフォーム会社に写真を見せて所見をもらうところから始めても構いません。屋根や雨樋の詰まりなど、明らかに対応が必要な項目があれば、その部分だけ先に手当てし、全体の調査は売却が具体的になった段階で改めて依頼する、という順番も現実的です。
どの相談先を選ぶにしても、渡す資料は同じです。部位ごと・方角ごとに整理した写真、気づいた点を書き出したメモ、点検した日付。この三点が揃っていれば、電話一本、メール一通からでも相談が具体的に進みます。逆にこれがないまま「実家が古くて心配です」とだけ伝えても、まず現地を見ないと何とも言えません、という返事になり、日程調整だけで時間が過ぎてしまいます。写真を撮る手間は、その後の相談時間を大きく短縮するための投資だと考えてください。
点検の記録は、写真だけでなく簡単な文章でも残しておくと、後から見返したときに状況が伝わりやすくなります。日付、見た部位、気づいた点、次に確認したいことを数行にまとめるだけで十分です。空き家の管理を家族の誰か一人に任せきりにせず、この記録を定期的に共有する仕組みを作っておくと、屋根や外壁の変化に気づく目が家族の中で増えていきます。
- 気になる箇所は全体・接写・定規添えの三枚一組で撮る
- 敷地の目印を基準に、同じ場所を同じ角度で撮る習慣をつける
- 部位別・方角別にフォルダを分け、抜け漏れに気づけるようにする
- 気づいた点はメモに書き出し、判断は専門家に委ねると決めておく
- 売却を考えるなら既存住宅状況調査技術者への相談を早めに検討する
- まだ迷っている段階では工務店・リフォーム会社への相談から始めてもよい
図3劣化サインの広がりと今後の方針で、相談先が変わる
このページ固有の確認メモ
ここからは「実家の屋根・外壁を素人が見るポイント|写真の撮り方」で特に確認したい内容を、事実、避けたい判断、手元資料に分けて示します。すべてを一度に終える必要はありません。確認できた項目には日付と根拠を添え、分からない項目には担当者と再確認日を付けてください。家族が別々の時間に作業しても、同じ一覧へ戻れる状態を目指します。
確認しておく事実
この欄は、方針を決める前に共有したい事実です。家族の記憶だけで確定せず、通知書、契約書、公式ページ、撮影日が分かる写真など、確認に使った根拠を隣へ書きます。該当しない項目も削除せず「該当なし」とした理由を残すと、後から同じ調査を繰り返さずに済みます。
- 屋根の点検は上らず、双眼鏡や二階の窓から四方を見比べる
- 屋根材ごとに傷みやすい場所が違う(瓦のずれ、スレートのひび、棟板金の浮きなど)
- シーリングの硬化・ひび・剥離は雨水の侵入経路になりやすい
- 床下換気口のふさがりと蟻道は、基礎まわりで見落としやすいサイン
- 雨樋のあふれ跡は、外壁の縦の黒筋として見つかることが多い
- 写真は全体・接写・定規添えの三枚一組で、部位・方角ごとに整理する
- 既存住宅状況調査技術者への相談は、売却が具体的になったら早めに
避けたい判断
この欄に当てはまる可能性があるときは、契約や処分をいったん止めます。一般例を対象の家へ当てはめたのか、資料で確かめたのかを区別し、不足情報を質問へ直してください。法務、税務、測量、建物、行政など別分野の判断が必要なら、回答できる相談先へ切り分けます。
- 屋根に上って自分で点検しようとする
- 苔があるから危険、ないから安全と単純に判断する
- 床下点検口の場所を家族の誰も把握していない
- 詰まった雨樋を無理に自分で高所作業で掃除しようとする
- 「実家が古くて心配」とだけ伝え、写真や記録を渡さないまま相談する
- 素人の見立てだけで修繕の要不要や危険度を家族内で断定する
手元で探すもの
見つけた資料には名称、発行年、原本の保管者を記します。古い資料も経緯を知る手掛かりになるため、最新版と違うだけで捨てないでください。見つからない場合は空欄にせず、再取得できるか、誰に所在を尋ねるか、いつ再確認するかを決めると次の相談準備になります。
- 屋根材ごとの傷みやすい箇所(瓦・スレート・棟板金・谷樋)の写真
- 軒先・破風板の雨染みや黒い筋の有無
- 外壁の色あせ・チョーキング・シーリングの状態(面ごと)
- 目立つひび割れの幅と位置(定規添えの写真)
- 木部のめり込みや蟻道らしき筋の有無
- 床下換気口のふさがりと点検口の場所
- 基礎まわりの地面の傾きと物置・植木鉢の密着状況
- 雨樋のたわみ・詰まり、竪樋の外れ、雨水桝の状態
- 撮影日・撮影場所を記録したメモまたはフォルダ構成
よくある質問
屋根に上って点検してもいいですか
おすすめしません。濡れた瓦やスレートは滑りやすく、素人の点検作業自体が転落事故の危険を伴います。屋根の状態は、双眼鏡や望遠側のカメラを使い、地上や二階の窓から四方を見比べる方法で十分に見当がつきます。詳しい確認が必要な場合は、既存住宅状況調査技術者など専門家に依頼してください。
外壁のひび割れは、細いものでも心配すべきですか
髪の毛のように細く網目状に広がるひびは、表面の仕上げ材にとどまることが多いとされます。一方、幅が目立つひび、一方向に長く連続するひび、上下でずれを伴うひびは扱いが変わります。定規を添えて撮影し、数か月後に同じ場所を撮り比べて広がっていないかを見てください。判断そのものは専門家に委ねます。
床下点検口の場所が分かりません。どうすればよいですか
多くの木造住宅では、和室の畳の下や、洗面所・台所の床下収納の中に設けられています。実家の場合、誰も場所を把握していないことも珍しくありません。家族で家中を確認し、見つかった場所を写真と簡単な見取り図に残しておくと、後で専門家に床下を見てもらう際の案内がスムーズになります。
既存住宅状況調査は、必ず受けなければなりませんか
義務ではありません。ただし、宅地建物取引の場面では、平成三十年四月以降、調査の実施の有無とその結果が重要事項説明の対象に含まれる取扱いになっており、売却を考えている場合は受けておくと説明や保険加入の手続きがスムーズになる可能性があります。まだ売却の予定がない段階では、工務店への相談から始めても構いません。
雨樋の詰まりは自分で掃除してもよいですか
高所での作業になるため、無理に自分で行うことはお勧めしません。地上から見て詰まりに気づいたら、その状態を写真で記録し、専門の業者に相談してください。敷地の勾配や雨水桝の詰まりなど、雨樋以外の要因が絡んでいることもあるため、まとめて見てもらうほうが確実です。
実家カルテでは、屋根や外壁について何をしてもらえますか
住所から公開情報を集め、点検で撮った写真や気づいた点を整理し、どこから先が現地調査や専門家の判断になるのかを線引きします。屋根・外壁・基礎の劣化診断そのものは行いません。売る・直す・住み続けるを決める前の共通資料として使い、その先は既存住宅状況調査技術者や工務店など専門家へ渡してください。
公式出典・確認先
制度や受付条件は変わることがあります。最終判断の前に、リンク先の最新情報と担当窓口を確認してください。

