更新日:|富士ヶ丘サービス株式会社

管理の当面の段取りと、家の将来を分ける

親が施設に入った直後は、連絡や荷物の準備だけでも負担がかかります。実家はまず誰が鍵を預かり、郵便や庭を確認するかを決め、その後で残す・貸す・売るの材料をそろえていきましょう。

所有者ご本人の希望を確認する

誰の名義の家か、ご本人が今後どうしたいと考えているかを確認します。施設入居をしたという事情だけで、家族が売却の判断を代わってよいとは限りません。意思確認や手続きに専門的な判断が必要な場合は、専門家に確認する事項を整理します。

施設の暮らしに必要な物を、先に取り分ける

日用品、衣類、写真や大切な物を先に分け、実家に残る荷物はすぐに一括処分せず、家族で確認する範囲を決めます。帰宅の見通しや、家族が引き取る物があるかも、片付けの範囲に関わります。

家を残す負担と、売却の材料を同じ場所に

固定資産税、管理や庭の手入れ、帰省など、今ある支出や作業を書き出します。売却を検討する場合は価格目安と片付けなどの費用を分けて確認し、ご本人・家族の希望と照らし合わせます。施設費用との関係で希望時期があれば、相談時にお伝えください。

売ると決める前でも相談できます

必要なのは、物件の市町・町名と連絡先です。ご本人との関係や困っていることは、分かる範囲で補足できます。まず確認の順番を整理し、売却を希望する段階になったら、詳しい査定や手続きの説明へ進みます。

判断基準の表:残す・貸す・売るを同じ軸で比べる

将来、誰かが住む・使う予定残す:ある(Uターン、親族が使う、戻る可能性を残す)
貸す:当面ない。建物を傷ませずに持ち続けたい
売る:ない。家族の誰も使う見込みがない
年間の負担残す:固定資産税・保険・通水・草刈り・見回りを自分たちで払い続けられる
貸す:家賃収入で税・修繕費をまかなえる見込みがある
売る:負担そのものをなくしたい
現地へ通えるか残す:通える、または管理サービスに委託できる
貸す:管理会社に任せられる
売る:通えない。遠方からの対応が精神的に負担
建物の状態残す:今のまま使える
貸す:貸せる状態に直す費用を出せる
売る:修繕・解体の判断を買主に委ねたい
税の期限残す:急いで現金化する必要がない
貸す:貸すと空き家の3,000万円特別控除は使えなくなる
売る:相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却が要件。他の要件も確認

数字で確認しておくこと

  • 固定資産税の住宅用地特例:住宅用地の特例は、固定資産税の課税標準を住宅1戸あたり200㎡まで評価額の6分の1、それを超える対象部分を3分の1にするものです(家屋の床面積の10倍までなどの条件があります)。解体や管理不全空家等・特定空家等への勧告で対象から外れることがありますが、軽減率だけから税額が一律6倍になるとは計算できません。土地の条件・負担調整・減額措置を含め、市町の資産税窓口へ確認してください(磐田市:住宅用地に対する特例/空き家解体に係る減額措置、確認日:2026年10月13日)。施設に入居した親御さんの家は、本人が住んでいなくても「住宅用地」として扱われるのが通常ですが、勧告を受けるほど管理が行き届かなくなると特例が外れます。
  • 空き家の3,000万円特別控除(被相続人の居住用財産):相続した家を売るとき、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。期限は相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までで、2027年12月31日までの売却が対象です。昭和56年5月31日以前に建てられた家で、亡くなった方が一人で住んでいたこと、売却額が1億円以下であることなどの要件があり、相続から売却等までの貸付け・事業・居住利用の有無も確認します。老人ホーム等への入居には別の要件があり、親が存命中に本人の自宅を売る場合の特例とは区別してください。相続・遺贈でこの家屋と敷地等を取得した相続人が3人以上の場合、2024年1月1日以後の譲渡では1人当たりの控除上限が2,000万円になります(国税庁 No.3306)。
  • 相続登記の義務化:2024年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の登記申請が義務です。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります(法務省)。売る・貸すのどちらを選んでも、名義が亡くなった方のままでは契約に進めません。

税額・控除の可否は土地ごと・家族ごとに異なります。金額の確定は市の資産税窓口と税理士に、登記は司法書士にご確認ください。実家カルテでは、これらの要件に関係する「建築年」「名義」「相続開始日」「接道」を先に整理します。

この記事のよくある質問

親が施設に入っただけで、子どもが実家を売ってよいのですか?

名義がご本人のままなら、売却の判断はご本人が行うのが原則です。施設入居という事情だけで、家族が代わりに売ると決められるわけではありません。ご本人の判断能力に不安がある場合は、成年後見制度などの手続きが関わることがあるため、売却を決める前に専門家へ確認する事項を整理します。

施設費用のために急いで売らないといけませんか?

急いで売る前に、今ある支出と、売却以外の選択肢を並べることをおすすめします。固定資産税や管理の負担、貸した場合の見込み、売却した場合の価格目安と片付け費用を同じ場所に書き出すと、希望時期に間に合う方法を比べられます。希望時期があれば、相談時にお伝えください。

帰宅の見通しが立たないまま、家を空けておいても大丈夫ですか?

空き家の期間が長くなるほど、通風・水回り・庭木・郵便物の管理が必要になります。まず誰が鍵を預かり、どのくらいの間隔で確認に行くかを決めてください。火災保険の契約内容が空き家の状態に合っているかも確認します。管理を続けながら、残す・貸す・売るの材料をそろえていく進め方ができます。