相続登記費用は取得費?5%計算との違い
2026年10月26日|カテゴリ:売却費用・税

Q. 実家を相続したときの登記費用は、売却の税金を計算するときに差し引けますか?
A. 業務に使われていない土地建物では、相続人が取得時に支払った登記費用も取得費に含まれる扱いです。ただし売却額の5%を取得費とする場合、その登記費用を別に加算することはできません。物件の用途、購入資料、登記費用の明細をそろえ、税理士へ確認してください。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。実家を相続したとき、司法書士への支払いや登記の税金を負担した。その家を売る段階で、支払ったお金を税金の計算に使えるのかが気になります。領収書があるだけで全額を足せるわけではなく、取得費の計算方法から確認します。
2026年10月26日に国税庁No.3270とNo.3252を確認しました。両ページの「令和8年4月1日現在法令等」は、説明の基準日です。今年から新しくできた取扱いという意味ではありません。年末前の資料整理として、相続登記費用に絞って説明します。
相続した家の取得費は、親の購入資料から始まる
国税庁No.3270は、相続した土地建物の取得費について、被相続人が購入したときの代金や購入手数料などを基に計算すると説明しています。相続時の査定額が、そのまま税金の計算に使う取得費になるわけではありません。
取得費は、売った財産を手に入れるためにかかった費用です。売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いて、税金の対象となる所得を計算します。譲渡費用とは売るために直接かかった費用で、取得費と同じ欄へ一緒に入れるものではありません。
国税庁No.3252は、購入代金、建築代金、購入手数料に加え、設備費や改良費なども取得費に含むと説明しています。ただし、建物は購入・建築代金等から所有期間中の減価償却費相当額を差し引きます。購入契約書の総額を、そのまま現在の建物の取得費とすることはできません。
親の購入資料が見当たらない場合の全体像は、実家売却の取得費不明と税金の整理で扱っています。今回の焦点は、親が払った購入代金に加えて、相続人が支払った登記費用をどのように扱うかです。
非業務用の土地建物では、相続時の登記費用も対象
国税庁No.3270は、業務に使われていない土地建物を相続・贈与で取得した際、相続人や受贈者が支払った登記費用等も取得費に含まれると説明しています。親の支出しか対象にならない、ということではありません。
この説明には「業務に使われていない」という条件があります。住んでいた家、貸していた家、事業に使っていた建物を、同じ実家という言葉でまとめないようにします。用途が途中で変わった場合も、家族の説明だけで一つに決めず、使っていた時期と内容を整理します。
私は、相続人側の登記費用にも触れている国税庁の説明は良いと考えます。名義を整理するために支払ったお金を、売却時の資料へつなげられるからです。領収書を捨てず、取得の経緯と一緒に保管する理由が明確になります。
その上で注文したいのは、請求書の総額だけで判断しない説明です。一枚に複数の物件や別の手続きが入っていれば、対象の家に対応する部分を確かめなければなりません。私は、金額を転記する前に「何の費用か」を税理士へ伝えられる形に整理します。
概算取得費の5%には、登記費用を別に足せない
国税庁No.3270は、取得費が分からない場合などに売却額の5%を取得費とする扱いを説明しています。その場合、相続人などが支払った登記費用等を取得費に含めることはできないと明記しています。領収書が残っていても、この別加算はできません。
例えば、土地を1000万円で売り、概算取得費を使うと仮定します。1000万円×5%で取得費は50万円です。相続時の登記費用が20万円あったとしても、50万円に20万円を加えて70万円とはしません。1000万円も20万円も説明用の仮定で、地域の相場や手数料の標準額ではありません。
この20万円は、税額の差を表しているわけではありません。誤って加算した場合の取得費の差です。税額は売価以外の条件や特例によっても変わります。支出20万円がそのまま税金20万円の減額になる、と読まないようにしてください。
私は、領収書が見つかった喜びと、税務上使えるかどうかを分けたいと思います。資料を探した努力が無駄という意味ではありません。実際の取得費で計算する準備にも、費用の説明にも使えます。ただ、5%の計算へ自動的に足すことはできない。ここは言い切っておきます。
実額と5%は、税理士へ別々の材料として渡す
相続登記費用の算入可否を確かめるには、実際の取得費を示す資料と、概算取得費を使う場合の計算を区別します。国税庁の説明は、どの家でも領収書の合計が取得費になるというものではありません。
私はこう考えます。売主の資料整理では、まず親の購入契約書と相続登記の請求書を別々に置きます。その上で、物件名、支払日、支払先、費用の内容をそろえます。税額を先に当てようとするより、税理士が判断できる材料を一度で渡す方が、家族の手戻りを減らせます。足りない書類まで、あることにして数字を埋める必要はありません。分からない費目を、そのまま質問として残すところまでが私の案内です。
建物の取得費を計算する際の減価償却は、建物の取得費と減価償却の確認を参照してください。土地と建物の金額が契約書で分かれていない場合も、売主側で根拠なく配分せず、資料ごと相談します。
売却のために払った測量費などは、測量費と譲渡費用の整理で扱っています。「不動産に払ったお金」という一つの袋に集めるのは構いませんが、計算する段階では取得時の費用、売却時の費用、維持管理費を分けます。
請求書を読むときは、物件と手続きの対応を見る
相続登記の請求書は、売却する土地建物と対応する明細を確認します。請求名義が家族の一人になっていることと、費用がどの不動産のためだったかは別の情報です。宛名だけで対象物件を推測しません。
整理表には、請求書番号、対象の所在地や地番、手続き名、費目、金額、支払記録の有無を記します。複数物件の一括請求で内訳が不明なら、依頼先へ明細を確認します。自分で均等割りにした数字を、確定した金額として渡さないようにします。
国税庁No.3270には不動産取得税についても記載がありますが、この記事は相続すれば必ずその税がかかるという説明ではありません。相続と贈与を合わせた資料の一節です。今回実際に支払った費目が何なのか、請求書と納付書で確かめてください。
正直に言えば、請求書を一目見ただけで、すべての費目の税務上の扱いを私が決めることはできません。業務用かどうか、費用が対象物件に対応するか、概算取得費を使うかで確認が分かれます。宅地建物取引士の仕事と、税理士が行う個別判断の境界は守ります。
年末前に、親の購入資料と相続時の明細を一組にする
2026年に実家を売却した方は、年末前の整理で購入資料と相続時の費用明細を一組にします。申告直前に領収書だけを探すより、何が足りないかを早く把握できます。磐田市・袋井市でも、この準備の順番は同じです。
今日できる確認は、登記費用の請求書を一枚開き、売却した物件と対応するかを確かめることです。次に親の購入資料の所在を家族へ聞きます。実額で計算できるか、5%を使うかは、その材料を税理士へ渡して確認してください。手元の現金がいくら残るかの試算も、費用の扱いが整理されてから行います。
取得費を増やしたくて、使えない費用を足してはいけません。反対に、確認しないまま使える資料を捨てる必要もありません。私は、数字を大きくするためではなく、根拠のある計算へ近づけるために資料を集めます。税務の個別判断は専門家に確認を。
磐田市・袋井市では、介護施設の運営から不動産事業を始めた富士ヶ丘サービスのような地域密着の会社に相談するという選択肢があります。
よくある質問
次の回答は一般的な確認手順です。個別の事情は資料をそろえて専門家へ確認してください。
- 売価の5%に相続登記費用を足せますか?
- 国税庁No.3270は、売却額の5%を取得費とする場合、相続人などが支払った登記費用等を取得費に含めることはできないと説明しています。登記の領収書が残っていることだけでは、5%への別加算はできません。実際の取得費で計算する場合との違いを確認し、計算方法と資料を税理士に示してください。
- 司法書士への支払総額をそのまま取得費にできますか?
- 請求書の総額だけで全額算入を決めないでください。国税庁の説明は取得時の登記費用についてのものです。請求書に複数の物件や手続の費用が含まれるなら、どの部分が対象物件の取得に対応するのか整理します。物件の用途や概算取得費を使うかどうかでも扱いが異なるため、明細を付けて税理士へ確認します。
- 相続した日が取得日になるのですか?
- 国税庁No.3270は、被相続人が取得した時期を相続人が引き継ぐと説明しています。相続登記をした日だけで所有期間を数えるわけではありません。取得時期と取得費の金額は別々に確認し、親が購入したときの契約書などを探します。土地と建物の取得経緯が違う場合も、資料を分けて税理士へ相談してください。
売ると決める前の資料整理から
実家カルテで名義・道路・境界を整理し、実家じまい相談室で次の段取りを確認できます。相続の資料は相続はじめ相談室もご利用ください。
富士ヶ丘サービス株式会社|0538-31-3308
参考にした一次情報
2026年10月26日確認(2026年10月確認)。公表日が不明な資料は、確認日を公表日として扱っていません。
本記事は2026年10月26日に確認した一次資料を基にした一般的な説明です。制度・数値・手続は変わる場合があります。重要事項・税務・登記・相続・契約の個別判断は、税理士・司法書士・弁護士・宅地建物取引士など各分野の専門家に確認を。
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