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手付金の保全措置|個人売主と業者の2つの違い

2026年11月3日|不動産実務・家族の段取り

手付金の保全措置|個人売主と業者の2つの違いの表紙。手付金の保全、売主で違う。

Q. 個人で実家を売る場合も、手付金を保全する義務がありますか?

A. 宅建業法の手付金等保全措置は、宅建業者が自ら売主となり、宅建業者ではない買主と取引する場合の制度です。個人が自宅を売る取引は、仲介会社が入るだけで同じ適用にはなりません。売主の属性と、受領する金額・物件の状態を分けて確認します。

大石浩之(磐田市/不動産業)です。実家の売買契約で手付金を受け取るとき、「不動産会社が間に入るから、お金も会社が保証する」と考えていないでしょうか。仲介をする役割と、売主として代金を受け取る役割は違います。

私は、手付金の話をするとき、最初に契約書の売主欄を見たいと考えます。個人の持ち主が売るのか、不動産会社が自社の物件を売るのか。会社の担当者が説明しているという見た目だけでは、制度の対象は分かりません。

不動産適正取引推進機構は、2026年6月の『不動産売買の手引』令和8年度版を公開しています。本記事は、この手引と国土交通省の案内を入口に、2026年11月3日時点の確認事項を整理します。保全措置が2026年に新設されたという意味ではありません。

手付金の保全は売主から確認。個人が実家の売主:仲介会社が入るだけでは対象外。宅建業者が自ら売主:買主・完成状態・金額等で確認。どちらも契約条件を読む:受領先と返還条件を別に確認。個別の保全義務は担当宅建士等へ確認。
記事内容を整理した図解。個別の保全義務は担当宅建士等へ確認。

違い1:仲介会社ではなく売主が誰かを見る

宅地建物取引業法の手付金等保全措置は、宅建業者が自ら売主となる取引で、宅建業者ではない買主を保護する制度です。売主業者が倒産するなどして引渡しを受けられない場合に、支払った手付金等を返還できるようにする仕組みです。

個人が自分の実家を売り、宅建業者へ仲介を依頼する場合、仲介会社が売主になるわけではありません。会社が契約の説明や日程調整をしていても、そのことだけで業者売主の保全措置と同じ扱いにはなりません。

契約の形確認する相手と制度
個人が実家を売却売主は個人。仲介会社の存在だけでは業者売主の保全義務は生じない
宅建業者が自社物件を売却買主の属性と物件・受領額等を確認し、保全措置の要否を判断

私は、売主と仲介者を分けて説明できる制度の考え方は良いと思います。誰が代金を受け取り、誰が引渡しを約束するのかが見えるからです。会社の名前が書かれた書類でも、立場を確認する習慣は他の契約にも役立ちます。

その上で、「当社が入っているので安心です」という説明だけには注文があります。何を保証し、何を保証しないのかを具体的に聞きたい。営業保証金や保証協会の仕組み、手付金の保全、任意の預かりを、同じ言葉で説明しないことです。

違い2:業者売主でも金額と完成状態で扱いが変わる

国土交通省の案内では、業者売主の手付金等保全措置について、工事完成前と完成後で保全不要となる金額の範囲が異なります。業者売主なら少額でも必ず同じ措置が必要、という説明ではありません。

登記に関する例外などを除く金額の扱いでは、未完成物件は代金の5%以下かつ1,000万円以下、完成物件は10%以下かつ1,000万円以下が保全不要の範囲です。「かつ」は両方を満たす意味です。割合だけ、金額だけの片方で判断しません。

例えば、完成物件の代金が3,000万円で手付金等が300万円なら、割合は10%で金額も1,000万円以下です。ほかの条件も確認した上で、金額の基準では保全不要の範囲に入ります。手付金等が400万円なら10%を超えます。この数字は制度を理解するための仮定で、磐田の相場ではありません。

逆に、完成物件で代金の10%以下でも、手付金等が1,000万円を超えるなら、同じ金額の例外には入りません。高額な取引では割合が小さく見えるため、円の金額も横に書いて確認します。私は、二つの数字を別々にチェックする説明を選びます。

対象は「手付金」という名称だけで決まるわけではありません。引渡し前に代金へ充てられる金銭など、手付金等の範囲を確認します。複数回に分けて払う予定なら、その支払いも含めて担当宅建士へ確認してください。名前を中間金に変えれば対象外になる、とは考えません。

手付金の保全と、契約解除の費用は別の話

手付金等の保全措置は、買主が支払ったお金の返還を確保する制度です。売主や買主が契約を解除するときの条件や負担を、すべてなくす制度ではありません。契約を続けられない場合は、解除条項を別に確認します。

手付解除、ローン利用特約による解除、合意解除などでは、確認する条件が異なります。売主が受け取った手付金を返せば必ず契約を終えられると考えないでください。解除の期限や履行の着手の扱いは、手付解除の期限を確認する記事で説明しています。

仲介手数料についても、買主への返還と同じ扱いだとは限りません。手付解除と仲介手数料の関係を別に確認し、媒介契約と売買契約を並べて担当者へ聞きます。お金の受取人が違う項目を、合計額だけで話さないことです。

個人売主にはこの保全義務がそのまま適用されないとしても、契約上の返還義務や責任が消えるわけではありません。買主との合意、契約条項、法令に沿って判断します。私は「対象外」という言葉の後に、なお確認する事項を必ず置きたいと思います。

個人売主は受領先と返還条件を書面で確認する

個人売主の手付金受領では、誰の口座へ、いつ、いくら支払われるかを契約書と照合します。仲介会社が一時的に預かる提案をする場合も、業者売主の法定保全措置と同じだと決めつけず、預かる根拠と返還条件を確認します。

私の勧めは、契約前に三つの質問を紙に書くことです。受取人は誰か。契約が解除された場合に誰から返すのか。受領や返還をどの書面で確認するのか。答えが曖昧なら、金額を動かす前に説明を求めます。

メール等で振込先の変更を知らされた場合にも、確認済みの連絡先へ問い合わせる段取りを決めておきます。これは保全措置とは別の実務上の提案です。契約書の売主、口座名義、担当者の説明が一致しているかを、一つずつ照合します。

手付金を決済時の代金へ充当する場合は、残代金との関係も見ます。既に受け取った金額を忘れて、売買代金全額がもう一度入る計算にはしません。決済当日のお金の流れとつなげると、手付金が契約全体のどこにあるかを整理できます。

磐田・袋井で実家を売る家族でも、同じ確認が使えます。本人に代わって家族が連絡している場合は、受領や契約の権限も確認します。家族の口座へ便宜的に振り込んでもらう前に、その理由と必要な書類を専門家へ相談してください。

私は、受け取った手付金を使う前に出口を確かめる

私はこう考えます。手付金の入金予定を家計表に書くなら、その横に返還が必要になる条件を残します。受け取る額だけを喜ぶのではなく、契約が予定どおり進まない場合にも対応できるかを確かめます。これは実際の相談事例ではなく私の提案です。保全義務の対象外でも、使い切ってよいお金と同じ意味にはしません。

売主には片付けや住替えの支払いがあり、早く資金を使いたい事情もあると思います。どこまで残すべきか、私も一律には決められません。だから、契約条件を確認せずに「手付金で払えばよい」とは案内しません。

今日できる確認は、契約書案の売主欄と手付金の受領条項を一緒に読むことです。富士ヶ丘サービスでは、売る決断を急がせず、磐田・袋井の家族が条件を理解してから進める段取りを考えます。個別の保全義務、解除、返還、登記・税務の判断は担当宅建士や弁護士などの専門家に確認を。

よくある質問

手付金の保全と受領の条件について疑問に答えます。

仲介会社が入れば手付金は保全されますか?

仲介会社が入ることだけでは、業者売主に対する手付金等保全措置と同じ扱いにはなりません。実家の所有者である個人が売主か、宅建業者が自ら売主かを契約書で確認します。仲介会社の預かりや任意の保証がある場合も、法定の保全措置とは分け、対象額、条件、返還方法を具体的に聞いてください。

完成物件なら手付金10%以下は必ず対象外ですか?

割合だけでは判断できません。業者売主の完成物件では、金額による保全不要の範囲は代金の10%以下で、かつ1,000万円以下です。10%以下でも1,000万円を超えるなら、その例外には入りません。登記の状況等による扱いも含め、買主の属性、引渡し前の支払総額、物件の状態を担当宅建士へ確認してください。

個人売主なら手付金の返還条件は自由ですか?

業者売主の保全措置の対象外であることと、返還の責任がないことは別です。手付解除、ローン利用特約、合意解除など、契約が終わる理由と条項によって確認事項が変わります。受け取った金額を自由に使えると考える前に、返還が必要になる場合と手順を書面で確認してください。個別の解釈は弁護士等へ相談します。

著者・大石浩之、磐田市の不動産業・宅地建物取引士の顔写真。

大石浩之|磐田市|不動産業・宅地建物取引士

富士ヶ丘サービス株式会社。磐田・袋井で介護と不動産を一体で相談し、家族が困らない段取りを考えます。

著者プロフィール

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参考にした公式情報

2026年11月3日確認(2026年11月確認)。資料の公表日と確認日は区別しています。

本記事は一般的な情報と筆者の意見です。制度・数値・運用は変わる場合があります。重要事項、契約、税務・登記・相続の個別判断は、担当窓口と各分野の専門家に確認を。