ATAWI FUDOSAN 富士ヶ丘サービス株式会社

Column 13

仏壇と、位牌と、
アルバムのこと。

家財を処分し、名義を整え、修繕の見積りも取った。それでもまだ、手をつけられないものが仏間に残っている——。仏壇と位牌は、他の荷物とはまったく別のものです。私たちも、この扱いだけは踏み込みません。ただ、選択肢をお示しすることはできます。

仏壇位牌閉眼供養遺品菩提寺

戸建て賃貸のご相談で、最後まで残る宿題が仏壇です。家具は処分できた。食器も衣類も片づいた。それでも仏間の襖を開けると、どうしても手が止まる。この感覚は、不動産の合理では割り切れないものだと、私たちは思っています。

ですから、この記事で「早く処分しましょう」と申し上げるつもりはありません。むしろ逆で、処分しなくて済む方法から先にお伝えします。そのうえで、いつか向き合うときのために、何が行われるのかを知っておいていただきたいのです。

まず、仏壇があっても貸せる方法があります

賃貸に出すとき、家全体を空にしなければならないと思われている方が多いのですが、必ずしもそうではありません。

ひとつ目は、仏間を除外して貸すという契約です。「この一室は貸主が使用するため開けません」という条件で募集します。当然その分だけ賃料は下がり、借り手も限られますが、成立しないわけではありません。とくに間取りに余裕のある古い戸建てでは、一室減っても生活に支障のない家があります。

ふたつ目は、いったんご自宅へ移すこと。マンションだから置けない、と思われがちですが、近年は小さな仏壇——上置き型やモダン仏壇と呼ばれるもの——が普及していて、幅四十センチほどのものもあります。仏壇店で相談すれば、住宅事情に合わせた提案を受けられます。大きな仏壇を処分するのではなく、小さな仏壇に移る、という選択肢です。

みっつ目は、お寺に永代供養として納めること。位牌を寺院に預け、供養を続けていただく形です。宗派や寺院によって受け入れの条件や費用は異なりますが、後々まで家族が管理を引き継がなくて済むという安心があります。

まず菩提寺に電話をしてください どの方法を選ぶにしても、最初にすべきは菩提寺へのご連絡です。「実家を人に貸すことになりまして、仏壇をどうしたらよいでしょうか」——この一言で結構です。お寺は、この相談を日常的に受けています。宗派の作法、地域の慣習、費用の目安、そして何より「そうしても構いませんよ」という言葉を、いちばん重みのある立場から聞くことができます。ご家族だけで抱えて何年も止まっている方が、電話一本で前に進まれるのを、私たちは何度も見ています。菩提寺が分からない場合は、ご親戚に聞くか、過去帳や位牌の裏に手がかりが残っていることがあります。

閉眼供養とは、何をするのか

仏壇を移動したり、手放したりするときに行われるのが閉眼供養です。魂抜き、お性根抜きなどとも呼ばれ、呼び方は宗派や地域によって変わります。

考え方としては、仏壇や位牌に宿っているとされる魂を、僧侶の読経によって抜き、ただの「もの」に戻す儀式です。これを行うことで、はじめて移動や処分ができる状態になるとされています。逆に、新しい場所に安置するときには開眼供養(魂入れ)を行います。

実際の流れは難しくありません。菩提寺に連絡して日程を決め、当日は僧侶に来ていただいて読経していただく。時間としては三十分ほどで終わることが多く、ご家族が数名立ち会う程度です。お布施の目安は地域や寺院によりますが、一万円から五万円ほどを包まれる方が多いようです。金額はお寺に率直に尋ねて構いません。「皆さんどのくらい包まれますか」と聞けば、たいてい教えてくださいます。

供養を終えた仏壇は、仏具店に引き取っていただくか、寺院でお焚き上げをしていただくか、あるいは自治体のルールに従って処分することになります。引き取りの費用は仏壇の大きさによりますが、数万円程度が目安です。供養だけして、仏壇そのものは残しておくという選択もできます。

選べる道は、処分だけではありません そのまま残す 仏間を除外して貸す 賃料は下がるが、今は何も決めなくてよい 自宅へ移す 閉眼供養 → 小さな仏壇へ 幅40cm程度のものもあります お寺に納める 永代供養として位牌を預ける 次の世代に管理を残さない 供養して手放す 閉眼供養 → 引取りまたはお焚き上げ お布施1〜5万円、引取り数万円が目安
図1いちばん左上を選べば、今日は何も決めなくて済みます。それでも家は貸せます。
仏壇を移すまでの手順 1 菩提寺へ電話 「実家を貸すことに なりまして」の一言 2 閉眼供養 読経30分ほど お布施 1〜5万円 3 位牌の整理 繰り出し位牌に まとめられます 4 移す 自宅/お寺/ 引取り数万円 この四段階、実際に動き出せば2〜3週間で終わります。 止まっている期間の長さと、実際にかかる時間は、まったく比例しません。
図2五年迷っていたことが、電話一本から三週間で終わる。これは決して珍しい話ではありません。

費用の総額としては、閉眼供養のお布施、仏壇の引き取り、必要なら新しい小さな仏壇の購入で、合計十万円から三十万円ほどを見込んでおけば、多くの場合は収まります。永代供養として位牌を納める場合は、寺院ごとの規定によりますが、数万円から数十万円と幅があります。いずれも、家賃の数か月分です。この金額のために何年も家を止めてしまうのは、率直に言ってもったいないと思います。

位牌と、写真と、手紙

仏壇本体より判断が難しいのが、位牌とアルバムです。

位牌は、代を重ねるほど数が増えます。古い家では十柱、二十柱と並んでいることも珍しくありません。この場合、繰り出し位牌——複数の札を一つの位牌に収める形式——にまとめる方法があります。菩提寺に相談すれば、まとめたうえで古い位牌を供養していただけます。位牌の数が減れば、小さな仏壇にも移せます。

もうひとつ、位牌と並んで扱いに困るのが過去帳です。ご先祖の名前と没年が記された帳面で、家によっては江戸期まで遡るものが残っています。これは家系の記録そのものですから、処分せずに引き継いでください。仏壇に入らない大きさなら、桐箱に入れてご自宅で保管すれば十分です。迷ったら残す、が正解になる数少ないものだと思っています。

掛け軸、御本尊、おりん、燭台といった仏具についても、菩提寺で引き取っていただけることがあります。仏具店に持ち込めば、状態の良いものは引き取られる場合もあります。ただし、値がつくことを期待しないでください。これらは処分先を確保することが目的で、換金は目的ではありません。

アルバムと写真は、量が膨大になりがちです。ここで多くの方が疲れ果てます。私たちがお勧めしているのは、その場で選別しないことです。段ボールにまとめて持ち帰る。中を見るのは、家の件が片づいて、気持ちが落ち着いた休日にする。片づけの現場でアルバムを開くと、その日の作業はそこで終わります。

どうしても量が多くて持ち帰れない場合は、撮影してデータにするという方法もあります。写真を一枚ずつスキャンする代行サービスがありますし、スマートフォンで撮るだけでも記録は残ります。現物を手放す判断は、データが手元にあると、ずいぶん軽くなります。

手紙や日記については、率直に申し上げて、正解がありません。読むべきか、読まずに処分すべきか。ご家族によって答えが違います。ただ一つ言えるのは、迷っているものは保留の箱に入れて構わないということです。保留の箱を作ることは、逃げではなく、正当な処理です。

実際にお受けした相談から(再構成) 「仏壇があるから貸すのは無理だと、五年間思い込んでいました。お寺さんに電話したら『よくあることですよ、供養してお移しすればいいんです』とあっさり言われて。あんなに悩んでいたのは何だったのかと。今は自宅に小さな仏壇を置いて、毎朝手を合わせています。むしろ前より近くなりました」

神棚がある場合も、考え方は同じです。宮司さんにお願いして御霊抜き(昇神の儀)をしていただき、古いお札やお守りとともに神社へお納めします。氏神様にあたる神社に相談すれば、たいてい応じていただけます。仏壇より簡素に済むことが多く、費用も控えめです。神棚があるから貸せない、という理由で止まっている方は、まず神社に電話してみてください。

それから、ご近所への挨拶についても触れておきます。長く空き家だった家に人が入るとき、隣近所は必ず気にされます。地区の役員さんや隣家に「このたび人にお貸しすることになりました」と一言伝えておくだけで、その後の関係がまったく違います。遠方にお住まいで難しい場合は、私たちが代わりにご挨拶に伺います。この地域では、こうした一手間が後々効いてきます。

「家を貸すこと」は、供養に反しないと思います

ここから先は、不動産会社の領分を超える話かもしれません。それでも、多くのご家族から同じ迷いをうかがうので、書いておきます。

「親の家を人に貸すのは、親に申し訳ない気がする」。この気持ちを口にされる方が、本当に多いのです。

私たちは介護施設を運営してきた会社です。人が家を離れ、施設で最期を迎え、その家が空き家になっていく過程を、数えきれないほど見てきました。そのうえで申し上げるなら——誰も住まなくなった家が朽ちていくことのほうが、ずっと寂しいと思います。

雨戸を閉め切った家に、湿気とカビが広がる。庭は伸び放題になり、近所から苦情が来る。年に一度、草を刈るためだけに帰る。それが五年、十年と続く。それは、その家を建てた方が望んだ姿でしょうか。

誰かがそこで暮らせば、朝には窓が開き、洗濯物が干され、夕方には台所から音がします。庭の木は手入れされ、玄関には靴が並びます。家が家として使われている状態を、その家を建てた方に見せられるとしたら、そちらのほうが供養になるのではないか——これは私たちの勝手な考えですが、そう思ってお預かりしています。

そして忘れないでいただきたいのは、貸すことは手放すことではないという点です。名義はご家族のままです。いつか売ると決めるのも、住み継ぐと決めるのも、これからです。仏壇を移したからといって、その家との縁が切れるわけではありません。

実際、私たちがお預かりしている物件の中にも、オーナー様のご希望で仏間を残したまま貸しているお宅があります。入居者の方には契約前にその条件を説明し、了承のうえで住んでいただいています。トラブルになったことは一度もありません。事前に条件が明示されていれば、借りる側は納得します。問題になるのは、説明されていなかったときだけです。

逆に、供養を済ませて仏壇を移された方からは「思い切ってよかった」という言葉をよく聞きます。どちらが正しいということはありません。ご家族の気持ちの整理がついた順番でいい。不動産の都合で、その順番を早めていただく必要はまったくありません。私たちの仕事は、どちらの状態でも家を動かせるようにしておくことだと考えています。

お盆やお彼岸に、実家へ手を合わせに帰っていた方も多いと思います。仏壇を移したあと、その習慣がどうなるかを心配される方がいますが、多くの方は「かえって近くなった」とおっしゃいます。年に二回、車で一時間かけて開けに行っていた家から、毎朝手を合わせられる自宅の一角へ。距離が縮まったぶん、思い出す回数は増えるのだと思います。

私たちが管理費0円でお預かりする理由

富士ヶ丘サービスは、磐田市で介護施設を運営しながら、宅地建物取引業者として不動産の相談を受けてきた会社です。本業は売買仲介です。それなのに、なぜ管理料をいただかずに戸建てをお預かりするのか。

いずれ売る日が来たとき、その売却をご一緒できればそれで成り立つからです。だから貸している間の管理料は0円で、その代わり、預かっている間ずっとその家の状態と相場を見続けます。ご家族が仏壇のことで何年迷われても、私たちは急かしません。急かす理由が、収益の構造の中にないからです。

現在、磐田市・袋井市を中心に9件を管理費0円でお預かりし、すべてに借主がついています。0円なのは管理料であって、修繕費・原状回復費・固定資産税・火災保険料といった実費と、賃貸借契約時の仲介手数料は別途かかります。そこを曖昧にするつもりはありません。

この記事のまとめ

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本記事は2026年8月時点の一般的な整理であり、宗旨・宗派・地域の慣習によって考え方や作法は大きく異なります。記載した費用の目安も一例にすぎません。閉眼供養や位牌の取り扱いについては、必ず菩提寺またはご縁のある寺院にご相談ください。当社は宅地建物取引業者として、不動産の状態確認・賃料の見立て・募集と管理の部分をお手伝いします。